キャンピングカーに搭載する装備には様々な選択肢がありますが、中でもトイレは必要と考える人もいれば不要と考える人もいて悩んでしまいがちなポイントです。
あとから設置したり、撤去したりできないタイプもあるので、トイレの設置については十分に検討しなければなりません。
この記事ではトイレの必要性や、設置する場合に知っておきたいトイレの種類と清掃・汚水処理などの管理方法について詳しく解説していきます。
キャンピングカーにトイレは設置した方が良い
コンビニや道の駅でトイレを借りる選択肢もありますが、トイレに行きたくなった時すぐにこういった施設が近くにあるとは限りません。
特に、山の中にあるスポットや、自由にトイレを借りられる施設から離れた場所に足を運ぶ場合、数十分間にわたりトイレが見つからないこともあります。
また目的の場所に向かう途中に通る道路が渋滞して全く進まなくなる可能性もありますが、車内にトイレがあれば、こういったことを心配することはありません。
そのため、トイレの心配をせずに旅を楽しみたいと考えているのであれば設置しておいたほうが安心です。また、トイレコントロールが難しい小さな子供や高齢者がいる場合も必須だといえます。
一方で、常に公衆トイレが点在している場所にしか足を運ぶ予定がない場合は、トイレの設置は必要ありません。街中であればトイレを借りられる場所としてコンビニやスーパーなど実に様々な選択肢があります。ただ、キャンピングカーでは街中から離れた場所に出かける方も多いですし、いつでもトイレに行ける安心感を考えると設置するメリットのほうが大きいです。
トイレを設置しない場合の留意点
コンパクトなキャンピングカーの場合は、トイレを設置したくてもできないケースがあります。ただし、旅の途中で周辺にトイレを借りられる施設がない場合のことは想定しておかないといけません。
もし車内にトイレが設置できない場合は、簡易トイレを用意しておくことをお勧めします。簡易トイレとは持ち運びが可能な小型トイレで、中には便座がついているものもあり、紙やプラスチック、段ボールなどの素材で作られています。
ただし簡易トイレは安定感がなく車内で使用するのに向かないものもあるため、基本的にスペースがあるのであればきちんとしたトイレ装備を設置しておいたほうが安心です。
キャンピングカーの主なトイレの種類と特徴・汚水処理について
キャンピングカーに設置するトイレとして、代表的な3つの種類とそれぞれの特徴、汚水処理、清掃方法についてご紹介します。
ブラックタンク式(マリン式)トイレ
ブラックタンク式トイレは船のトイレと仕組みが同じであるためマリン式とも呼ばれており、床下などに100リットル前後の容量が大きいタンクが設置されていることから、特に大型のキャンピングカーに多く搭載されています。
安定感も良く、安心して使えます。ただ、固定式ということもありトイレスペースは半畳程度を考えておかなければなりません。価格は6~10万円前後です。
汚水を処理するには、RVパークと呼ばれるキャンプ場や道の駅などにある車中泊が可能な施設に設置されているダンプステーションに行きましょう。キャンピングカーの排出用ホースとダンプステーションの設備をつないで処理します。
処理方法は非常に簡単で、排水レバーを引くだけです。ホースをつないで流すので直接汚物を見ることがない点や、4~5人で使っても1週間程度処理が必要ないものが多いのが大きなメリットです。ただ、処理する際に使用するダンプステーションは欧米では主流であるものの日本国内ではまだそれほど普及が進んでおらず、事前に場所を調べておかなければならないデメリットがあります。
掃除についてですが、タンクはキャンピングカー内に常設する形となるので、洗う必要はありません。
便座はトイレ用のペーパータオルや漂白剤を含ませた雑巾などで拭き掃除をします。内部はトイレ用洗剤とトイレ用ブラシで洗いますが、傷が付きやすい素材の場合はスポンジタイプのブラシがおすすめです。
ポータブル式トイレ
車両には固定せず置くだけで設置できるトイレで、便座部分とタンク部分が一体型の水洗ポータブルトイレが主流です。処理する際には汚水タンクのみを取り外して処理場所まで持っていくことができます。
木製やプラスチック製、金属製、スチール製など様々なものがあり、背もたれがあるもの・ないものと商品の種類も豊富です。
サイズの目安は幅と奥行きが50~70cm、高さ70~90cmほど。価格は5,000円~13,000円ほどです。
固定のトイレを取り付けられない場合でも後付けで設置できるのが魅力で、凝固剤で汚水を固めるものや水で流すものなど、選択肢が豊富なのがメリットだといえます。
ただ、プラスチック製のものは軽くて安定しにくい点や、自分でタンクを取り外して汚水を処理しなければならないデメリットがあるので注意が必要です。
タンク容量は10リットル程度となっているため、家族で使う場合、使用頻度によっては1~2日程度で処理しなければならないこともあります。
汚水処理の際にはタンクを外し、先述したRVパークにあるダンプステーションまたは自宅のトイレで汚水を捨てます。その後、以下の手順で掃除をしましょう。
- タンク内に水で希釈したタンク専用クリーナーを入れる
- ゆすって攪拌し、数時間おいてから捨てる
- 本体にタンクを設置する
- 汚物を分解する薬剤をタンク内に入れる
タンク専用クリーナーで掃除することによってタンクに付着していた汚れを落とせるだけでなく、使った際に汚れが付着しにくい状態を保てます。また、掃除後にタンクに薬剤を入れることにより消臭効果も得られます。
本体の掃除はブラックタンク式トイレと同じように内部をトイレ用洗剤とトイレ用ブラシで掃除し、便座はペーパータオルや雑巾で拭きましょう。
カセット式トイレ
車両に便座などのトイレ本体が固定されているタイプで、トイレルームをキャンピングカーに常設する形になるため、大きいタイプのキャンピングカーでなければ設置が難しいです。家のトイレと同じような感覚で利用できます。
本体のみのサイズは幅が40~60cm前後、奥行きが50~60cm前後、高さは60~70cm前後となりますが、トイレルームとして半畳程度のスペースが必要だと考えておきましょう。価格は10~15万円前後です。
メリットとして、タンクは車の外から取り出すタイプなので車内を清潔に保てることが挙げられます。ただ、価格が高いことや故障時には修理費が高くついてしまうことがデメリットです。
容量は20リットル程度なので、数人で使う場合は1~3日程度の頻度で処理が必要になります。
汚水処理する際には、まず、汚水が入っているタンクを車両の外側から取り出すのですが、この時、自動的にタンクの開口部が閉じるようになっているので、中身が漏れたりする心配はありません。処理場所や汚水処理後の掃除方法はポータブル式と同じなので、タンク内を専用クリーナーできれいにしたら汚物を分解する薬剤を入れましょう。本体内部の掃除はトイレ用洗剤とトイレ用ブラシを使って行い、便座はペーパータオルや雑巾で拭きます。
キャンピングカーのトイレはあったほうが便利
汚水の処理をしたくないという理由でキャンピングカーのトイレ設置を悩んでいる方もいますが、いつでもトイレに行ける安心感があるメリットは非常に大きいです。
渋滞につかまった時、急にお腹が痛くなったとき、キャンピングカーに泊まって夜中にトイレに行きたくなった時など、すぐに利用できます。
実際には処理や掃除もそれほど手間にはならないため、安心してキャンピングカーでの旅を楽しむためにもトイレの設置を検討するのがおすすめです。