キャンピングカーでWi-Fi(wifi/ワイファイ)を使えるようにしてデータ通信を思い切り楽しむためには、どのようなサービスへの加入や、機器が必要でしょうか。ここでは、キャンピングカーにWi-Fi環境を構築するメリットと、その方法を解説します。
キャンプやアウトドアに出かけてスマートフォンのデータ通信容量を使い切ってしまったという経験はありませんか?
音楽を流し放しにしたり、映画やYouTube動画を見たりなど、データ通信を利用する機会は旅中でも意外に多いもの。
スマートフォン1台でそのような使い方をしていたら、データ通信容量をすぐに使い切ってしまいますが、キャンピングカーをWi-Fiスポット化することで、容量を気にせず通信を目一杯楽しむことができるようになります。
キャンピングカーをWi-Fiスポット化するメリット
キャンピングカーにWi-Fi環境を構築して「Wi-Fiスポット化」すれば、スマートフォンのデータ通信容量を気にせず動画視聴やSNSへのアップロード、アプリのダウンロードなどが可能になります。
また、タブレット端末やPC、ゲーム機など、それ自体がセルラー通信に対応していない機器を複数台インターネットに接続させ、それぞれで高速で、安定した通信がおこなえるようにできます。
ソロキャンプにではSNSやWeb閲覧、動画視聴したり、ファミリーキャンプでは、キャンプ場への道中に子どもにせがまれて動画を見せたり、音楽を流し放しにすることもあります。
そうした場合にスマートフォンでは、データ通信容量はどんどん消費され、あっという間に規定量を使い切ってしまいます。
キャンピングカーのWi-Fiスポット化すればそのような通信容量の心配もありません。
Wi-Fiルーターの種類
キャンピングカーをWi-Fiスポット化するためには「Wi-Fiルーター」と呼ばれる機器が必要ですが、キャンピングカー車内で使えるWi-Fiルーターにはいくつかの種類があります。ここでは、キャンピングカーをWi-Fiスポット化できるWi-Fiルーターと、種類ごとのメリット・デメリットを解説します。
モバイルWi-Fiルーター
携行可能な小型のWi-Fiルーターです。外出先でWi-Fi環境を構築する最もポピュラーな方法であり、各社から多くのサービスが提供されています。データ通信容量が無制限のものが一般的ですが、なかには月間100GBなどの制限が設けられているものもあります。
1~2日の短期旅行ならレンタル契約もおすすめで、月単位で料金を支払う通常のサービスよりも費用を小さく抑えることができます。
代表的なレンタルサービスには、「どこよりもWiFi」「NETAGE」「Wi-Fiレンタルどっとこむ」「Wi-Fiレンタル屋さん」「Air-WiFi」「MUGEN WiFi」「クラウドWiFi」などがあります。
メリット
- 外出用・キャンプ用・自宅用を分ける必要がなくいずれでもWi-Fi環境を構築できる
- バッテリー内蔵型なので電源がない場所でも利用できる
- 数多くのサービスの中から自分に最適なものを選択できる
デメリット
- こまめな充電が必要
- 紛失する可能性がある(携行可能かつ小型軽量であるため)
スマートフォン(テザリング)
スマートフォンをルーター代わりに使用する方法です。スマートフォンに備わっている「テザリング機能」により実現します。
普段使っているスマートフォンをルーター代わりにしてもよいのですが、スマートフォンのデータ通信容量が消費されるため、月間数十GB以上使える大容量プランを契約しているでもない限り、容量をすぐに使い切ってしまう心配があります。また、テザリング機能はバッテリー消費が激しく発熱の問題もあるため、スマートフォン本来の電話としての用途に支障をきたす可能性があります。
その場合は、Wi-Fi環境のためだけのデータ通信プランを契約する方法を検討してみてください。具体的には、auの「povo」や楽天モバイルの「UN-LIMIT」、その他MVNOのデータ通信SIMといった、月額基本料が無料で、単日で高速通信を利用できるサービスが挙げられます。過去に使っていた古いスマートフォンとこれらのサービスを組み合わせることで、モバイルWi-Fiルーターを契約するよりも低コストで運用できる可能性があります。
メリット
- 外出用・キャンプ用・自宅用を分ける必要がなくいずれでもWi-Fi環境を構築できる
- バッテリー内蔵型なので電源がない場所でも利用できる
- Wi-Fi環境構築のために新しいサービスや機器を別途契約・購入する必要がない
- 使い古しのスマートフォンと格安通信サービスを組み合わせれば最小費用での運用も可能
デメリット
- こまめな充電が必要
- データ通信容量を使い切ってしまう心配がある
- 通常利用以外でスマートフォンのバッテリーを消費する
- 長時間使用すると動作が不安定になったり過度に発熱したりすることがある
車載専用ルーター
車両にWi-Fi環境を構築するためのルーターで、シガーソケットに接続するタイプと、カーナビタイプがあります。ドコモの専用プラン「docomo in Car Connect」と組み合わせて使います。データ通信容量は無制限です。
ドライブやキャンプのときだけ単日で利用できる1日プラン(550円)、1か月単位で利用できる30日プラン(1,650円)、毎日の使用を前提に1年分を割安に利用できる365日プラン(13,200円)など、用途に合わせたプランが用意されています。
メリット
- 年間契約でリーズナブル。1日単位で無駄なく使うことも可能
- 車専用のサービスなので仕組みも料金も分かりやすい
- カー用品店でも購入でき、相談・取付などのサポートが受けられることも
デメリット
- 機器が高額
- シガーソケット接続タイプは停車時には基本的に利用できない
- 通信サービスに選択肢がない(ドコモ専用回線組み込み)
- 車外に持ち出して使用できない
ホームルーター
自宅でホームルーターを使用しているなら、キャンピングカーの車内に持ち込んで使用できる可能性があります。ただし一部のサービスは登録住所以外での使用を認めていないため、提供元への確認が必要です。
登録住所以外での使用が認められている場合、キャンピングカーにはAC100Vコンセントが装備されているので、ホームルーターをコンセントに繋ぐだけで車内にも自宅と同じWi-Fi環境を作ることができます。しかも、日頃使用しているルーターなので、接続するスマートフォンやパソコンに新たなパスワードを入力する必要がなくそのまま利用可能です。もちろんデータ通信容量は無制限です。
代表的なサービスには、NTTドコモの「home 5G」、auの「ホームルーター 5G」、UQ WiMAXの「WiMAX 2+ホームルーター」があります。
メリット
- 自宅のWi-Fi環境を車内にそのまま持ち込める
- 新たなパスワードの入力の必要もなく電源をいれればすぐに利用可能
- Wi-Fi環境構築のために新しいサービスや機器を別途契約・購入する必要がない
デメリット
- 電源を入れている間ずっと車載バッテリーの電力を消費する
- 車外に携行して使用できない
- 屋外で利用するための設定が必要な場合がある(使用する電波周波数帯の設定)
車内Wi-Fiに必要なデータ通信量とは
キャンピングカー車内で何をするか、あるいは、使用頻度や使用時間によって必要なデータ通信量が異なり、選ぶべきルーターの種類や通信サービスも変わってきます。
3つのパターンのシミュレーションによって、必要なデータ通信容量と、適合するおすすめ通信サービスをまとめました。
ほぼ毎日車内でのデータ通信をおこなうケース
キャンプや車中泊だけでなく、テレワークの移動式ワークスペースとして利用する、あるいはアウトドアを楽しみつつ仕事をするワーケーションなどを含め、ほぼ毎日キャンピングカー車内でのデータ通信をおこなうケースでは、無制限、または100GB超の大容量プランがおすすめです。
- docomo in Connect 365日プラン(車載専用Wi-Fiルーター)
- 365日間使い放題で13,200円(ひと月あたり1,100円)はとてもリーズナブル。ドコモのLTE回線なので仕事用途でも安心できます。シガーソケットに接続するタイプのルーターでは停車中の利用ができないので、カーナビタイプがおすすめです。サブバッテリーからも電源供給する仕組みを構築すれば、エンジンOFF時でも使い続けられます。
- UQ WiMAX ギガ放題プラス(モバイルWi-Fiルーター)
- UQコミュニケーションズが提供するWiMAXサービスです。場所によっては5G通信も利用できるため非常に高速な通信が可能で、都市部でのビジネスシーンでは活躍が期待できます。月額4,380円(税込)の基本料のほか、初期手数料や機器代金がかかります。端末は、UQ提供のモバイルWi-Fiルーターを使用します。
毎週末キャンプにファミリーで出かけるケース
子ども連れ家族4人で毎週末キャンプに出かける場合、往復の道中では子どもが動画やオンラインゲームで退屈を紛らわせ、キャンプ中は音楽を流し放し、夜は映画を観ながらゆっくり過ごすというシチュエーションが考えられます。1泊あたり10GBと想定すると、月間4週末として40~50GBを使う計算です。
- 楽天モバイル UN-LIMIT(モバイルWi-Fiルーター)
- 楽天モバイルの4G/5G通信サービスです。月間のデータ通信量に応じて料金が決まる従量課金制となっていて、1GBまでは無料、3GBまでは1,078円、20GBまでは2,178円、それ以上はどれだけ使っても3,278円で固定です(すべて税込)。端末は楽天モバイル提供のモバイルWi-Fiルーターのほか、市販のSIM装着可能なモバイルWi-Fiルーターが利用可能です。
- どこよりもWi-Fi (モバイルWi-Fiルーター)
- 「どこよりもWi-Fi」が提供するモバイルWi-Fiルーターのレンタルサービスです。5GBまでは900円、以降どれだけ通信しても3,400円(すべて税込)という2段階制の料金システムとなっています。端末は、どこよりもWi-Fiが提供するモバイルWi-Fiルーターを使用します。ネットで申し込み、翌日にはルーターが発送される点も魅力のひとつです。
月に1~2回ソロキャンプに出かけるケース
ソロキャンプに月に1~2回出かけるだけという場合には、基本料金分が無駄になるため大容量・使い放題プランは避け、月額基本料がかからないサービスがおすすめです。
月に1~2回ソロキャンプに出かけるケース
ソロキャンプに月に1~2回出かけるだけという場合には、基本料金分が無駄になるため大容量・使い放題プランは避け、月額基本料がかからないサービスがおすすめです。
- au povo 2.0(スマートフォン)
- auが2021年10月1日からプラン内容を刷新しバージョン2.0となったpovoは、月額基本料がかからず、オプションサービスをトッピングして必要なサービスだけを利用するスタイルのスマートフォン向け通信プランです。「24時間データ通信使い放題」(330円/日)をキャンプ日だけトッピングすれば、余計な費用を一切かけずにキャンプ中の通信し放題を実現できます。auの最新モデルはもちろん、数年前に発売された旧モデルや、他社提供のスマートフォン、SIMフリーモデルまで対応機種は幅広いです。過去に使っていたスマートフォンが使えれば端末代すらかかりません。
キャンピングカーのWi-Fiスポット化で皆が笑顔に
ここまでキャンピングカーの車内にWi-Fi環境を構築するメリットや方法についてみてきました。
インターネットに接続して利用するサービスが格段に増え、遊びでも仕事でも高速で安定したインターネット接続環境が求められるようになりました。
スマートフォンでモバイル通信が可能とはいえ、データ通信容量の問題が常につきまとい、特に動画視聴など大量の通信が必要なサービスは、外出先での利用を控えてしまいがちです。
モバイルWi-Fiルーターなど大容量のデータ通信サービスを契約し、キャンピングカーをWi-Fiスポット化すれば、旅中でもデータ容量不足を気にすることなく、動画視聴やゲームなどを存分に楽しむことができるようになります。
Wi-Fiスポット化する方法にはモバイルWi-Fiルーターや車載専用ルーターを用いるなどいくつかの種類があり、費用や使い勝手はさまざまですので、用途や使用頻度に応じて最適と思われる方法を選んでみてください。