キャンピングカーに暖房を導入するなら、安全性が高く、エンジン停止中にも使える「FFヒーター」がおすすめです。予算的に難しい場合は、セラミックヒーターが手軽で有用です。
この記事では、冬場のキャンピングカーをあたたかく快適にする暖房器具について解説します。FFヒーターやセラミックヒーターをおすすめする理由に加えて、暖房効果を高める断熱対策や、揃えておきたい防寒グッズも掲載しましたので、ぜひ併せてご覧ください。
キャンピングカーの暖房にFFヒーターをおすすめする理由
FFヒーターは暖房能力が高いのはもちろん、エンジン停止中でも使え、また安全性も高いので、キャンピングカーの暖房機器として最適です。
日本RV協会が実施したアンケート調査によると、「寒さ対策のためにFFヒーターは必要だと思いますか」の質問に対して236人中198人が「絶対に必要」と回答しており、多くの人がFFヒーターの必要性を感じていることがわかります。
参考:日本RV協会による「冬を楽しむキャンピングカーの魅力」に関するアンケート調査
ここでは、FFヒーターをおすすめする理由をご紹介します。
- エンジン停止中でも使える
- FFヒーターは、キャンピングカーのエンジンを停止している状態で使用できます。キャンピングカーの燃料タンクから送られてくるガソリンや軽油、または専用タンクからのLPガスを燃料として使い、電源はサブバッテリーで稼働するからです。アイドリング時のエンジンの騒音で周りに迷惑をかけることもありません。
- 換気の必要がなく、しかも安全
- 暖房器具を使うにあたり気をつけなければならないのは一酸化炭素中毒ですが、FFヒーターは換気をしなくても安全に使えます。なぜなら、車外から吸気し、燃焼により生じた排ガスは車外に強制的に排気する仕組みになっているからです。換気が必要な暖房だと、せっかく車内をあたためても換気によりまた冷えてしまい効率が悪いですし、就寝中も換気をしなければならず苦労します。ただし、FFヒーターの排気口周辺には注意が必要です。排気口がふさがれた状態だと排ガスが車内に逆流する可能性があり、一酸化炭素中毒の危険が生まれます。排気口が雪などで塞がれてしまうことがないよう、駐車時などに入念に確認しておきましょう。
- 燃料コストが低い
- FFヒーターは燃料費があまりかかりません。例えばFFヒーターで有名なベバスト社のAir Top 2000 STCを例にとると、消費燃料は1時間で0.14~0.27リットルであり、ガソリンの価格が1リットル170円としても一晩(8時間)で370円程度にしかなりません。
- 燃料補給に手間がかからない
- ガソリン・軽油を燃料とするタイプのFFヒーターは、燃料の補給に手間がかからないのも魅力です。キャンピングカーの燃料タンクからポンプで送られてくるガソリン・軽油を燃料として使うため、車の燃料補給とヒーターの燃料補給を一緒におこなえるのです。燃費がよいためそもそも燃料が減りにくいというのもあります。
- ガスを燃料とするタイプのFFヒーターの場合、ガスタンクにガスを充填するために充填所への持ち込みや集配依頼が必要となります。
石油ストーブやガスファンヒーターがおすすめできない理由
キャンピングカーの暖房に石油ストーブやガスファンヒーターをおすすめできない理由は、一酸化炭素中毒の危険があるのと、燃料漏れを起こす可能性があるからです。
石油ストーブやガスファンヒーターは、燃焼で発生したガスを室内に排出する「開放型暖房機器」のため、キャンピングカーで連続使用する際は一定間隔で車内を換気する必要があります。換気をしないで長時間つけていると空気中の二酸化炭素濃度が増えることに加えて、不完全燃焼を起こせば一酸化炭素中毒を引き起こす可能性があります。
また、石油ストーブの場合、車の揺れによって燃料受け皿に溜まっている燃料が漏れ出ることがあります。ストーブを固定していない場合には、車の急ブレーキや左右への大きな旋回でストーブが転倒して燃料が漏れ、最悪火災を引き起こすことも考えられます。
FFヒーターなら、車外にガスを排出する仕組みのため一酸化炭素中毒の可能性が限りなく低いですし、車の揺れによる燃料漏れの心配もありません。
加湿機能付きセラミックファンヒーターもおすすめ
FFヒーターは設置費などを含めると約30万円かかりますが、予算的にFFヒーターの設置が厳しいという場合には、3万円以内で購入でき、手軽に導入できるセラミックファンヒーターがおすすめです。
セラミックファンヒーターは電気で動くため、一酸化炭素中毒の危険や燃料漏れ、火災の心配もなく安全です。転倒した際に自動で電源がOFFになる「転倒対策機能」が付いているものもあります。これに加えて、暖めるだけのものだと空気が乾燥してしまうので、加湿機能が付いたものを選ぶとなおよいでしょう。
なお、セラミックファンヒーターの定格電力はほとんどの器具で最大1,200Wのため、1,500W以上のインバーターが必要です。また、セラミックファンヒーターは消費電力の関係上、長時間の連続使用に不向きなので、インバーターに加えてポータブル電源や防寒グッズを併用して使うとよいでしょう。
キャンピングカーの暖房効果を高める3つの断熱対策
暖房器具を整えることも大切ですが、車内の断熱対策も重要です。断熱対策不足で車内に冷たい空気が入り続けてしまっては、暖房器具をいくら取り揃えても寒さはやわらぎません。
大がかりな断熱対策は費用も労力もかかってしまうため、少しの工夫で車内をあたたかく保てる3つの断熱対策を紹介します。
すきま風防止テープや断熱シートを貼る
すき間風防止テープや断熱シートを貼ることで、外から冷たい空気が入り込むのを防ぐことができます。
キャンピングカーの車内は完全に密閉されているように見えて実は多くのすき間が存在し、そこからすき間風が入り込んできます。「ドアのすき間をテープで塞ぐ」「窓に断熱シートを貼る」「天井に断熱シートを貼る」などの工夫で、あたたかい空気を車内に閉じ込めて保温効果を高めます。
すきま風防止テープや断熱シートは、モノによっては100円均一でも購入できるため、手軽に対策できる点も魅力です。
ジョイントマットで足の冷えを防ぐ
キャンピングカーのフロア(床)にジョイントマットを敷くのが断熱対策として有効です。ジョイントマットを敷けば、下からの冷たい空気を防げるため、足元だけが冷えるということがなくなります。冷え性の方は特に足元が冷えやすいため、取り入れてみるとよいでしょう。
ジョイントマットにはさまざまな厚み・素材のものがあります。断熱対策には保温効果の高いEVA素材を使用したもので、厚みは1.5cm~2cmのものであれば高い効果が見込めるでしょう。
カーテンを断熱素材に変更する
窓からは冷たい空気が入り込みやすいため、カーテンを断熱素材に変更することも有効です。車内のあたたかい空気が冷たい窓に触れると、冷えた空気が下に流れて足元が寒く感じてしまいます。この現象はコールドドラフト現象と呼ばれています。
断熱カーテンは内と外両方の熱を通さない工夫が施されているため、コールドドラフト現象が抑えられるのです。また、断熱カーテンによって車内の空気が外に逃げにくくなるため、一層保温効果が高まります。
断熱カーテンは断熱以外にも防音効果が高いこともメリットです。車内の音が外部に漏れるのを抑えてくれます。
防寒グッズも使えば足元の冷え対策も完璧
暖房器具、断熱対策に加えて防寒グッズも備えておけば、キャンピングカーでの車中泊をさらにあたたかく、快適なものにできます。冬場の車中泊に備えておきたい防寒グッズは以下の3つです。
- 電気毛布
- 湯たんぽ
- 厚手の靴下
上半身があたたまっても足元が冷えたままだと辛いですが、これらの防寒グッズはいずれも寒いところをピンポイントで温めてくれるため効果的です。そして、「寒ければONにする/暑ければOFFにする」「寒い人だけ使用する」というように細かな調整が効くのもよい点です。
キャンピングカーの暖房を整えて冬の旅を楽しもう
キャンピングカーの暖房について解説しました。スキー・温泉旅行・冬キャンプなど、季節ならではの楽しみにキャンピングカーを活用したい人も多いでしょう。冬の旅を楽しむためには、車内を快適に過ごせるようにする防寒対策が必要不可欠です。
FFヒーターを設置できれば車内はあたたかく、冬の車中泊を快適で安全に過ごせるようになります。FFヒーターがなくても、セラミックヒーターを導入したり、断熱、防寒対策の工夫で冬の冷えを抑えることができるので、ぜひ導入をご検討ください。
暖房・断熱・防寒対策を整えて、キャンピングカーを利用した冬の旅を思い切り楽しんでみてはいかがでしょうか?