キャンピングカーのタイヤは、一般の車のタイヤと同じように選んでしまっては危険です。キャンピングカーと一般の車では、求められる性能がずいぶん違うからです。
この記事では、キャンピングカーのタイヤを選ぶ際に必要な知識と、タイヤ選びで失敗しないためのポイント、タイヤの交換時期・メンテナンス方法について解説します。
キャンピングカーのタイヤを選ぶときに知っておきたい知識
キャンピングカーのタイヤを正しく選ぶために知っておきたい知識を4つご紹介します。
キャンピングカーは一般の車よりも車重があるのでタイヤにかかる負荷が大きく、求められる性能や適正な空気圧が異なります。また、キャンピングカー専用のタイヤが販売されていることも知っておきたいポイントです。
キャンピングカーと一般車で求められるタイヤが違う理由
キャンピングカーは一般車と比べると車体の総重量が大きく、運転時以外もタイヤには常に大きな負荷がかかっているため、タイヤに求められる性能が異なります。重量が大きくなる理由は、ベッドやキッチン、冷蔵庫、エアコンなど、車内で生活するために必要な設備がいくつも搭載されているからです。
また、キャンピングカーの利用目的は主に旅行や趣味での遠出になるかと思いますが、どちらにしても長い時間走行することになるため、走行時の快適性も大切です。
そのためキャンピングカーでは、一般車よりも重い重量に耐えられる性能に加えて、走行時の快適性も兼ね備えたタイヤを選ぶ必要があります。
タイヤの数字の意味
キャンピングカーに適したタイヤを選ぶには、タイヤに記載されている数字の意味を知っておく必要があります。
タイヤの仕様には「タイヤの幅」「扁平率(へんぺいりつ)」「直径」「ロードインデックス」「対応できる最高速度」があり、これらはタイヤのサイドウォール(側面)に記載されています。
参考・出典:DUNLOP|タイヤサイズ、表示の見方
例えば「195/80R15 107/105L」と記載されているとしましょう。このとき、各数字の意味は以下のようになります。
- 195:タイヤの幅
- 80:タイヤの扁平率
- R:ラジアル(構造)
- 15:タイヤの直径
- 107:シングルタイヤ時のロードインデックス
- 105:ダブルタイヤ時のロードインデックス
- L:速度記号(タイヤが走行できる最高速度)
また、タイヤの製造年と製造週も「X0117」というように記載されています。
- 01:製造週(この場合は2017年1週目)
- 17:製造年(この場合は2017年)
タイヤに記載されている数字の意味を知ることで、このあと解説する失敗しないタイヤ選びに活かせるようになります。
車両に応じたタイヤの適正な空気圧
キャンピングカーには、車両に応じて適正なタイヤの空気圧が指定されています。
空気圧が低下している状態で走行を続けると、タイヤがバースト(破裂)する可能性があり、車両が横転するなどの大きな事故につながることも。また、偏摩耗(部分的に異常に摩耗する現象)による乗り心地の低下や、「ハンドルがとられる」など制動能力の低下を招きます。
こうしたリスクを回避するために、キャンピングカーの適正空気圧を確認する方法を覚えておきましょう。適正空気圧の確認方法は、下の画像のようにドアの内側などに記載されているシール(タイヤラベル)を確認します。
出典:一般社団法人日本自動車タイヤ協会|キャンピングカーとタイヤ
この場合、キャンピングカーの適正空気圧は前輪と後輪ともに600kPaです。
現在の空気圧を確認するために、以下のようなゲージを使う方法があります。
出典:Amazon
自分で空気圧を確認したり、定期的にガソリンスタンドなどで点検してもらう習慣をつけておくと安全です。また、タイヤによっては多めの空気圧が必要になる場合もあるため、タイヤ交換時などは、適正空気圧の確認を忘れないように気をつけましょう。
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キャンピングカー専用のタイヤもある
日本ミシュランタイヤから、CP規格に準拠したキャンピングカー専用タイヤが発売されています。
CP規格とは、キャンピングカーのタイヤに求められる強さや耐久性、加えて最高速度も160km/h以上に対応できる走行性能を実現した規格です。CP規格のタイヤは、キャンピングカーの本場ヨーロッパで広く使われているタイヤのため、安全かつ快適に走行できる性能を有しているといえます。
なお、CP規格のタイヤは、前輪と後輪で適正空気圧が異なります。
キャンピングカーのタイヤの選び方
ここからは、前述したキャンピングカーのタイヤの知識をふまえ、失敗しないタイヤの選び方を解説していきます。
キャンピングカーは一般の車と使用用途などが異なるため、見た目だけでタイヤを選んでしまうと、予期せぬ事故を引き起こす可能性があります。ロードインデックスや適正空気圧を確認しながら選びましょう。
ロードインデックスを意識して選ぶ
キャンピングカーのタイヤ選びで最も重視したいのは、ロードインデックスです。なぜなら、キャンピングカーの重量に耐えられるタイヤでなければ、タイヤ自体の損傷や事故を招く危険があるからです。
ロードインデックスとはタイヤの負荷能力を表す指数であり、値が高いほどタイヤが大きな重量に耐えられることを意味します。具体的な数値は以下のとおりです。
【ロードインデックス(LI)一覧】
キャンピングカーのドアの内側などにあるタイヤラベルの値を確認して、適正なロードインデックス値のタイヤを選択しましょう。キャンピングカーによっては、シングルタイヤの場合やダブルタイヤの場合があるため、混同しないよう注意も必要です。
車両とタイヤ両方の適正空気圧を確認する
キャンピングカーのタイヤを選ぶときは、タイヤラベルとタイヤを確認して適正な空気圧を確認しましょう。
ミシュランのCP規格タイヤのように、前輪と後輪で適正空気圧が異なる場合もあります。また、同じ空気圧でもタイヤによって負荷能力が変わります。タイヤを選ぶときにはタイヤラベルを写真に撮っておき、実際のタイヤに記載されている数値と比較しながら選ぶとよいでしょう。
事前にお店に確認する
店舗でタイヤの購入・交換をするなら、事前に店舗に在庫などの確認をとっておくとよいです。
キャンピングカーに適合する一部の商品は、一般的な小売店では扱っていなかったり一時的に在庫がない場合があります。また、キャンピングカーは種類によっては大型となるため、店舗によっては大型車のタイヤを交換できる整備場や設備を持っていない場合もあります。
訪れてから在庫がない・交換できないといった状況にならないためにも、事前に店舗に確認の連絡を入れておくとよいでしょう。
キャンピングカーのタイヤ交換時期を知っておこう
タイヤが原因の事故を防ぐためには、タイヤの交換時期を把握することも必要です。
普通の車の場合、タイヤの交換時期の目安は、使用開始から4~5年(スタッドレスタイヤは3年)と言われてますが、キャンピングカーはタイヤにかかる負荷が大きく、劣化しやすいため、3年での交換が目安とされています。
これはあくまで目安であり、タイヤの状態次第では3年以下でも交換が必要になることもあります。タイヤは走行により溝が徐々にすり減っていくので、キャンピングカーの使用頻度が高ければより短い間隔での交換が必要になります。また、縁石に乗り上げたり異物が刺さったりして傷が付くこともあるため、走行距離だけで考えるのも不十分です。
そこで大事になってくるのが定期的な点検やメンテナンスです。実際に目で見て小まめに状態をチェックすることでトラブルを防止できますし、タイヤの寿命を伸ばすことにもつながります。
キャンピングカーのタイヤは適度にメンテナンスしよう
ここでは、キャンピングカーのタイヤを適度に確認、メンテナンスする方法を解説します。少しでも安全な状態で長くキャンピングカーを使うためには、タイヤの状態を良好に保つことが大切です。
具体的には以下のように確認していきましょう。
- タイヤの空気圧:冷えた状態で適正空気圧かどうかを月に1回程度確認する
- タイヤに異物が刺さっていないか:運転前や運転後に毎回確認する
- タイヤの溝が減っていないか:月に1回程度目視で確認する
- タイヤが変形していないか:膨らんだりへこんだりしていないか目視で確認する
タイヤに異物が刺さったまま走行するとバースト(破裂)の危険があります。溝が減っていれば雨天時にハイドロプレーニング現象(タイヤと路面の間に水膜ができてタイヤが浮く現象)を引き起こす場合もあります。また、タイヤが膨らんでいると内部のコードが切れている可能性があるため危険です。
上記の確認を自分でおこなうのが不安な場合は、月に1度くらいの頻度で整備士がいる店舗などで点検をしてもらいましょう。
キャンピングカーのタイヤは安全のために正しく選ぶことが重要
ここまで、キャンピングカーのタイヤ知識と失敗しないための選び方について解説してきました。
キャンピングカーのタイヤ選びを間違えてしまうと、一般車と比べて事故を引き起こすリスクが高まります。タイヤの知識は安全のために必ず覚えておく必要があるといえるでしょう。
キャンピングカーは、大切な家族を乗せて思い出となる時間を過ごす場所でもあります。自分と家族の命を守るためにも、記事で解説してきた知識を覚えて正しくタイヤ選びをしていきましょう。