ライトキャンパーとは何かや、メリット・デメリット、おすすめの車両をご紹介します。
昨今のキャンプブームはご存じの通りですが、「密」を避けられるレジャーとしても注目を集めています。また、行き帰りの道中でも人との接触を低減できるオートキャンプやキャンピングカーへの注目度も増しており、自らキャンピングカーを購入・所有しようというユーザーも増加傾向にあります。
今回はそんなキャンピングカーのなかでも、外見は通常のバンやライトバンのまま軽装備で普段使いが可能な、いわゆる「ライトキャンパー」を取り上げます。
ライトキャンパーとは?
ライトキャンパーとは、ライト感覚で乗れるキャンピングカーを指す総称です。
明確な定義や寸法・仕様などの規定はありませんが、一般的には外見はノーマルのバンのままで、構造変更を伴うような大がかりな改造をせず、就寝設備やダイネットを装備して車内で就寝(車中泊)できるようにした、いわゆるバンコンを指します。
快適装備もサブバッテリーや冷蔵庫などのシンプルな構成に留め、キャンプや車中泊にも気軽に出かけられ、日常の買い物や送迎などの普段使いもこなせるようなマルチパーパス(多目的)なキャンピングカーです。
ライトキャンパーは増加している
近年、バンコンに代表されるライトキャンパーの販売数が伸びています。
2020年7月に発行された、日本RV協会による「キャンピングカー白書2020」によれば、日本RV協会員のキャンピングカー事業者の出荷台数と輸入車数の合計から廃棄台数を差し引いた国内キャンピングカーの保有台数は、2019年には119,400台に達しました。
出典:日本RV協会
車種別にみた場合、上位3車種の2019年の出荷台数の前年対比は以下の通りです。
- 8ナンバーキャブコン:110.0%
- 8ナンバーバンコン:111.1%
- 8ナンバー以外:126.6%
「8ナンバー以外」とは、ほとんどは3ナンバー・4ナンバー・1ナンバーのバンコンと推測でき(キャブコンで8ナンバー以外の車両は考えにくいため)、2018年から2019年にかけて最も増加した車種でした。
出典:日本RV協会
ライトキャンパーのメリット
ライトキャンパーには以下のようなメリットがあります。
- 外観はごく普通のバンやミニバンのままで普段使いができる
- レジャーにも普段使いにも使えるマルチパーパス
- 車両価格が比較的リーズナブル
身軽で機動的に日常の利用にも適応できることはライトキャンパーの最大のメリットです。
外観は通常のバンやミニバンのままで街中でも違和感なし
ライトキャンパーは、外観にはほとんど手を加えず、街中に数多く走っている商用バンや常用のミニバンと区別がつきません。
そのため、日常的な買い物や家族の送迎、外食などの日常の「足」としても違和感なく使用でき、そうした役割を担う車両を別途用意する「2台持ち」の必要がありません。
大柄なキャブコンでは気おくれするような駅前の狭い道路でも大きさを持て余すことなく取り回しがよく、自宅駐車場も普通車用で大丈夫ですし、商業施設などの駐車場にも問題なく停められます。
レジャーにも普段使いにも使えるマルチパーパス
バンコンは、ごく普通のバンに見えても室内には就寝設備やダイネットを備えているため、車内で休憩や食事をしたり車中泊も難なくおこなえます。
さらに、本格的なキャンプの際には、道具や食材をしっかり積み込んでオートキャンプに出かけることも可能です。
特に今は「密」を避けられるレジャーとして、キャンプや車中泊の人気が高まっており、日常とレジャーの両方で多目的に活躍するライトキャンパーへの注目が集まっています。
装備・改造は最小限で車両価格を抑えている
外装同様、内装についても構造変更を伴う改造はほとんどおこなわないため、改造費などが削減され、車両価格自体が抑えられるメリットがあります。
装備は、サブバッテリー、シンク(給排水)、冷蔵庫、換気扇など必要最小限で、キャブコンのような豪華装備は見られませんが、その分、気軽に使えます。
キャブコンの相場が700~1,000万円ほどであるのに対して、ライトキャンパーは通常のミニバンやSUVと大差ない500~600万円で購入することができます。
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災害発生時の自主避難場所としての期待
コロナ禍は災害時にも大きな影響を与えており、避難所での「密」が心配されていますが、普段使いにも使えるライトキャンパーであれば、災害時専用ではなくても、いざと言うときには自主的な避難所としての活用が期待されます。日ごろから、車内に飲食品なども備蓄しておくことで、避難生活がおこなえます。
内閣府防災担当WEBによれば、災害発生から行政の支援が届くまでの72時間(3日間)は自力で生き延びる方法(自助)を確保するよう求めています。
バンコンは車内に就寝設備を持っているため手足を伸ばして就寝できることから、車中泊によるエコノミークラス症候群の危険性を下げることができます。
ライトキャンパーのデメリットとは
ライトキャンパーにはデメリットもあります。多目的に使用できることは、見方を換えると「どっちつかず」「中途半端」とも見えてしまうという点です。
具体的には以下のような点です。
- キャブコンほど装備が豪華ではない
- 軽キャンパーほどは安くない
- 商用バンほど荷物が乗らない
- 乗用車ほど高速道路が快適ではない
すべてに80点といったキャラクターは、使い勝手はよいですが、何かに特別秀でているわけでもないので、長く使っていると物足りなくなってしまう可能性があります。
おすすめのライトキャンパー
最近のブームもあってバンコンはとても車種が増えていて、初めての方が簡単に車種を選びにくい状況になっています。そこでここでは、代表的な2車種のバンコンをピックアップして紹介します。
バンコンのどこを見ればよいのか、どのような装備が自分に合っているのかなど、実際に車種選びの際に参考にしてみてください。
フロットモビール シュピーレン
トヨタの小型商用バンライトエースをベース車にしたバンコンです。外観はほとんどオリジナルの商用バンルックで、ルーフにベンチレーション部分が見えることが唯一の違い。
エンジンは1,500ccガソリンエンジンでミッションは4AT、駆動方式は4WDで多少の雪道やキャンプ場へのぬかるんだアプローチでも安心です。
この外見で街中に止まっていても誰もキャンピングカーとは思わない普段使いの勝手のよさが魅力。
レクビィ ホビクル オーバーランダーⅣ
レクビィ ホビクル オーバーランダーⅣは、「大容量カーゴ」&「シンプルレイアウト」+「あなた好みにDIY」を特徴とするバンコン。
取り回しのよいボディサイズで、日常使いの街乗りや駐車場探しも心配ありません。
バイクや自転車を積んで出かけ、現地で車中泊……といったシチュエーションにピッタリですが、ダイネットは広大なベッドに展開可能で、手足を広げて大の字で眠ることができます。
乗車定員は5名、就寝定員3名と、就寝員数を抑え、荷物の積み込みを意識した作りになっています。
車の買い替えならライトキャンパーもぜひ候補に
ライトキャンパーなら、日常生活の様々な使途でも、アウトドア・レジャーでも1台でクルマの利用シーンのすべてを賄うことができます。
しかも運転や取り回しはミニバンとほとんど同じで、駐車場の心配がいらないことも日常生活のなかでの使用では重要な要素です。
「キャブコンは高価で手が出ない」「自宅の駐車場に入るか分からない」「細い道では運転に自信がない」「2台持ちは難しい」などなど、キャンピングカーの購入をためらってしまうさまざまな問題に、ライトキャンパーなら答えを出せるかもしれません。
次に車を買い換える際には、SUVやミニバンだけでなく、ライトキャンパーを候補に入れてみてもよいのではないでしょうか。