キャンピングカーの高速料金(高速道路料金)について、その仕組みや料金例、注意点を交えて解説します。
遠出する際には高速道路を利用することもあるでしょう。キャンピングカーは車体が大きく重量もあるので料金が高いと誤解されがちですが、そのようなことはありません。
とはいえ長距離を通行するとなると金額もそれなりになるので、自分の車がどの車種区分となるかや、目的地まで行くのに大体いくらの料金がかかるのか、前もって知っておきたいところです。
記事の末尾には、キャンピングカーで高速道路を走行する際の注意点も掲載しました。ぜひあわせてご覧いただければと思います。
高速料金は車種区分によって決まる
高速道路の通行料金(高速料金)は、車種区分ごとに決められています。
車種区分には「軽自動車等」「普通車」「中型車」「大型車」「特大車」という5つの区分があり、例えば普通乗用車は「普通車」の区分、軽乗用車は「軽自動車等」の区分になります。
料金所では、通過する自動車の種類(形状や規格、乗用か貨物かなど)に応じて車種区分が判断されます。
キャンピングカーは「普通車」の区分
一般的なキャンピングカーは、高速料金の車種区分が「普通車」となります。特別な条件なく、「深夜割引」「休日割引」も適用されます。
一般的なキャンピングカーとは、ナンバーの分類番号が8で始まる特種用途自動車で、車検証の車体の形状が「キャンピング車」になっている車両を指します。キャンピング車として登録されていれば、たとえマイクロバスなどの中型車をベースにしたキャンピングカーでも、普通車の料金で高速道路を利用できます。
キャンピング車として登録された軽キャンパーはどうでしょうか。この場合は「軽自動車等」の区分になり、軽自動車と同じ料金で済みます。
8ナンバー以外のキャンピングカーは自動車の種類で区分される
キャンピング車として登録されていない、いわゆる「キャンピング仕様車」の場合には、通常どおり自動車の種類で車種区分が判断されます。
具体的には下表のとおりです。ナンバーの分類番号(3ナンバーや5ナンバーなど)で判断するとよいでしょう。
車種区分 | 自動車の種類 | ナンバープレート | |
分類番号 | 色・文字 | ||
軽自動車等 | 軽自動車 | 4・5 | 黄地に黒文字 |
黒字に黄文字 | |||
普通車 | 小型自動車 | 5・7
4・6 |
白地に緑文字 |
緑地に白文字 | |||
普通自動車 | 3 | 白地に緑文字 | |
中型車 | 普通貨物自動車(3車軸以下) | 1 | 白地に緑文字 |
緑地に白文字 | |||
マイクロバス | 2 | 白地に緑文字 | |
緑地に白文字 |
※参考:NEXCO 中日本
ETCゲートなら基本的に過払いの心配はない
ETCのゲートを通過する場合は、ETC車載器にセットアップされた車種で自動的に支払いがおこなわれるため、過払いを心配する必要はありません。
しかし、ETCではない一般ゲートを通過する場合は、特にキャンピング車(8ナンバー車)は係員が初心者だったりすると区分を間違えられることがあるため、通過時にどの区分が適用されたか注意して見ておく必要があります。
通過時、場合によっては車検証の提示をお願いされることがあるので、車検証はグローブボックス(助手席の前側にある小物入れ)などに入れおくとよいです。また、各料金所では車種区分を証明する「車種区分証明書」を発行しているため、何度も間違えられるようであれば発行しておくとよいでしょう。
実際にかかる料金の例
キャンピングカーで高速道路を走行する際にかかる実際の料金の例を見てみましょう。
東名高速道路の東京IC~御殿場IC、東京IC~浜松ICまで走行する際にかかる料金はそれぞれ下表のとおりです。通常料金を黒文字、深夜割引適用後の料金をピンク文字、休日割引適用後の料金を青文字で示しました。中型車には休日割引が適用されないのでハイフン(-)としています。
車種区分 | 高速料金(消費税込み) | |
東京IC~御殿場IC (83.7km) |
東京IC~浜松IC (230.0km) |
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軽自動車等 |
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普通車 |
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中型車 |
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※黒文字:通常料金、ピンク文字:深夜割引適用後の料金、 青文字:休日割引適用後の料金
※参考:NEXCO 中日本
中型車は普通車の約2割増しの料金です。キャンピング車(8ナンバー)登録されたキャンピングカーはベース車が中型車以上の区分でも普通車の料金で高速道路を利用できるうえ、休日なら休日割引も適用されるため、優遇されているといえます。軽キャンパーならよりお得に遠出できます。
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キャンピングトレーラーの高速料金は?
キャンピングトレーラーを牽引して高速道路を通行する際の料金は、トレーラーが1軸(タイヤが2輪で車軸が1本)の場合は、牽引している車の1つ上の車種区分の料金となります。
例えば1軸のトレーラーを軽自動車で牽引していれば普通車区分の料金に、普通車で牽引していれば中型車区分の料金になります。
2軸のトレーラーの場合は牽引している車の2区分上の料金となります。ただし、軸間距離が1m未満なら1軸のトレーラーとして扱われます。ほとんどのキャンピングトレーラーは軸間距離が1m未満なので、1軸でも2軸でも基本的には牽引している車の1区分上の料金と覚えておけばよいでしょう。
なお、2軸のトレーラーを牽引して出口の料金所を通過する際には注意が必要です。ETCは軸の数しか感知できないため、ETCゲートを通過してしまうと2区分上の料金が課されてしまいます。
対応策としては、ゲートを通過する前にETCカードを抜き、一般ゲートまたは混在ゲートを通過する際に係員にその旨を説明し、1区分上の料金で精算してもらいます。
キャンピングカーで高速道路を走行する際の注意点
最後に、キャンピングカーで高速道路を走行する際にドライバーが頭に置いておくべきことをまとめました。
一口にキャンピングカーといっても大小さまざまですが、特に大型で大量の装備を積んだ高重量のキャンピングカーは普通の乗用車とは異なる特性を持つため、運転には注意が必要です。
後部座席もシートベルトを必ず着用する
一般道路、高速道路に関わらず、運転中は運転席・助手席はもちろん、後部座席も必ずシートベルトを着用しましょう。着用せずに走行することは道路交通法違反になりますし、何より大変危険であり、シートベルトを着用していなかったばかりに大事故につながったケースも実際にあります。
キャンピングカーの居住部分は自動車の後部座席というより自宅のリビングにいるような感覚になり、シートベルトをしなくてもよいような錯覚に陥ることがありますが、普通の車と同じようにシートベルトの着用が必須です。また、シートベルトが取り付けられていない座席に着座して走行することも禁じられています。
最低速度制限に気をつける
高速道路には最低速度(50km/h)の制限があります。あまりに速度を落としすぎると違反や危険運転につながる場合があるので注意が必要です。
キャンピングカーは装備を積み込んでいる分、ベース車よりも重量が増え、エンジンのパワー不足が影響する場面も多いです。
なだらかな勾配でも速度が落ちて後続車に追いつかれることがあるため、登坂車線を利用するなどして、ほかの車の走行を阻害しないようにしなければなりません。
急なハンドル操作は避ける
大きく・重く・長い車両を運転している意識を忘れず、急なハンドル操作は避け、できるだけゆっくりと穏やかな操作を心がけてください。
急なハンドル操作はバランスを崩しやすく、横転を招くこともあるため、カーブでは速度の出しすぎに注意します。
特にトラックベースのキャブコンでは、運転席上部に就寝スペースを持った車種が多く、背が高く、重心が高い位置にあるので注意が必要です。
横風に厳重注意
キャンピングカーが横風に影響を受けやすいことも知っておくべきです。
背の高いキャブコンはもちろん、それほど背の高くないバンコンタイプであっても、側面は面積が大きいため横風の影響をかなり受けます。トンネルの出口や橋の上など、横風が強い場所ではハンドル操作に注意しましょう。
大型のバスやトラックに追い越されるときも引き込まれるような空気の動きがあるため注意します。
早め早めのブレーキを心がける
速度を控えめにすることはもちろん、早め早めのブレーキ操作を心がけ、車間距離をしっかりキープしましょう。
大きくて重い車が減速しにくいことは誰もが理解していることです。しかし実際に運転していると、ついキャンピングカーであることを忘れて、普段の感覚でのブレーキ操作になりがちです。
とはいえ、ブレーキを踏み過ぎれば速度が低下して後続車に迷惑がかかるので、減速したらその分は速度を回復する意識もあわせて持っておきたいところです。
料金と注意点を理解して安全・安心に高速道路を利用したい
誤解されやすいキャンピングカーの高速料金ですが、仕組みは至ってシンプルであり、一度覚えてしまえば忘れることはないでしょう。ETCゲートを通過するなら自車の区分をいちいち覚えておく必要もありません。
維持費を考える際、実際には保険や車検も含めて総合的に判断する必要がありますが、キャンピング車(8ナンバー)登録された車両は普通車の区分で利用できるので、8ナンバーのキャンピングカーは少なくとも高速料金だけはお得といえます。キャンピングカーを選ぶ際のひとつの参考にしていただければと思います。