キャンピングカーの駐車場について解説します。
アウトドアレジャーやリモートオフィスなどの、自由な用途を創造できるキャンピングカー。「旅する別宅」として家族のように重宝される一方で、「どこに駐めておくか」といったスペース面での悩みがつきものです。
本記事では、キャンピングカーの常時保管や、旅先での駐車に適した場所・制度を取り挙げます。
キャンピングカーの車庫証明について
キャンピングカーを購入する際は、「駐車場問題」を防ぐために、下記2点を考慮しておかなくてはなりません。
- 基準に従った駐車スペースの確保
- 車庫証明(自動車保管場所証明書)の申請
はじめに、愛車を確実に駐めておくための基礎知識と注意点に触れていきます。
車庫証明とは
車庫証明とは、所有する自動車の保管場所を証明するための書面のことです。キャンピングカーも普通乗用車と同様に、新車・中古車を問わず取得する必要があります。
一般的に、キャンピングカー(車両)の置き場所としてクリアすべき要件は、次の3項目です。
- 1. 距離
- 住民票の登録住所から、直線距離にして半径2キロメートル以内の場所であること
- 2. スペース
- 車庫~道路間をスムーズに出入りでき、車体全部を収容できる広さがあること
- 3. 名義
- キャンピングカーの保有者が、保管場所の使用権限を有していること
なお、軽キャンパー(※1)やバンコン(※2)などのコンパクトなキャンピングカーほど、比較的容易に近隣の駐車場を見つけやすいといえます。
(※1)軽キャンパー…軽自動車をベースとしたビギナー向きのキャンピングカー
(※2)バンコン…バンモデルの車両にキャンピングカーの設備を架装したもの
キャンピングカーと特例措置
キャブコンクラスの大きなキャンピングカーに対しては、車庫事情のハードルの高さから、救済策が用意されています。
次のうちいずれかの条件に適合すると、車庫証明の「特例措置」を受けることが可能です。
- 特殊用途車両に該当し、全長5.7mまたは全幅1.9mを超えるもの
- 特殊用途自動車のキャンピングトレーラーやボートトレーラーに該当するもの
- 車両所有者からの委託を受けた保管施設であること(基準あり)
以上の特例が認められた場合は、半径2km圏外でも駐車スペースを確保できるようになります。
キャンピングカーの保管場所と制度
キャンピングカーの保管先に最も適しているのは、2km圏内の駐車場や自宅のガレージなどです。コスト、防犯性、敷地や区画の大きさ、駐めやすさなど、車庫選びのポイントを押さえたうえで候補地を見ていきます。
契約駐車場
駐車場の標準的な寸法は、長さ5.0m×幅2.5m×車路幅5.0mです。それに比べ、欧米製や大型のキャンピングカーはサイズオーバーしやすいため、2台分を借りるなどしてコストが掛かってしまうことがあります。
特に都市部での車庫探しは難しいものの、全長・全幅・車高をクリアできる契約駐車場があれば決め手となります。
なお月極駐車場の場合は、空車状況が変わりやすい2~4月・9~10月の間に検討するのがおすすめです。
モータープール&専用駐車場
モータープールの直訳は、「自動車のたまり場」。正確には、官庁に認定された大型キャンピングカーやトレーラーの預かり所のことです。
モータープール制度は、以下の条件に沿った車両の保管・管理を施設に委託することで、車庫証明の特例措置が受けられる制度を指します。
- 8ナンバー(特種用途自動車)登録のキャンピングカー
- 全長5.7mまたは全幅1.9mのいずれかを超えるもの
モータープール制度では、所在地から駐車場までの距離がどれだけ遠くなろうが問題とはなりません。
またモータープールは、キャンピングカーの販売店やディーラーによる運営が多く、「駐めてくつろげる」空間を持ち味としています。サービス内容が充実しているほか、トラブルやメンテナンスなどの対処が確実であることも人気の理由です。
<モータープールに多く見られるメリット>
- 冷蔵庫・給水・発電機・エンジンなどの点検サービスあり
- 不具合・故障に対する定期メンテナンスの実施
- 入退場記録や施錠管理がおこなわれるため安全性が高い
- ダンプステーション(汚物処理)や洗車スペースを無料で利用できる
旅先での駐車場選び
次に、外出先や旅行中における駐車場探しについて解説します。一般的に下記4箇所が利用されます。
- RVパーク
- オートキャンプ場
- 道の駅
- パーキングエリア&サービスエリア
このほか、昨今では駐車場のマッチングサービスを利用して駐車場所を確保するケースもみられます。
- RVパーク
- RVパークとは、「日本RV協会」が推進している北米発祥の車中泊スポットです。一時的な休憩所としても安心・快適であり、電源供給設備やごみ処理システム、トイレ、入浴施設などを利用することができます。
- 料金は車両1台につき1泊2,000円~3,000円とリーズナブル。スポットごとに駐車できる台数が限られているため、シーズン中は事前予約が必要です。
- オートキャンプ場
- オートキャンプ場は、自動車との旅やアクティビティを楽しむためのレジャーサイトのこと。定番のキャンプやバーベキュー、天然温泉、星空鑑賞などのアウトドアを主流に、コテージなどの宿泊施設を併用している例もあります。
- オートキャンプ場の多くは、家庭用の100V電源を使えるうえに、寝具や調理器具、キャンプ用品などのレンタルも可能です。
- 道の駅
- 幹線道路沿いに点在する道の駅は、ドライバー屈指の休憩地かつ観光レクレーション施設です。広い駐車スペースが無料で利用できるうえに、24時間トイレや入浴施設を備えているところもあります。最近ではAC100V電源がとれるRVパークを併設している道の駅もつくられるようになりました。
- このように大変便利なスポットではありますが、道の駅は仮眠や休憩の場所であるとの認識が必要です。近年は迷惑行為やマナー違反が目立つようになり、車中泊を禁止する道の駅の方が多数派。たとえキャンピングカーなどに泊まる人々が多数見受けられても、スポットごとの決まりを一度きちんと確認し、それを遵守するようにしましょう。
- パーキングエリア&サービスエリア
- 高速道路中の一休みに重宝される、パーキングエリアとサービスエリア。キャンピングカーを駐める際は、レジャー施設での休憩や仮眠を取る形での利用が望ましいといえます。
- なお、24時間を超えるエリア内での滞在やキャンプ行為などはNGです。
- 駐車場マッチングサービス
- 駐車場のマッチングサービスは、「空きスペース」と「ドライバー」の双方を結びつけるシェアビジネスのことです。全国の遊休スペースを有効活用したいユーザーと、駐車場を借りたいドライバーが互いに利益を享受する仕組みで成り立っています。
- 同サービスには、設備の整った駐車場が多数含まれているため、昨今はキャンピングカー所有者からのニーズがより高まっている状態です。
キャンピングカーライフは駐車場リサーチが重要
家族との歴史を共有するキャンピングカーだからこそ、最適な駐車場を選びたいと願うもの。コロナ禍により、駐車サービスにも発展の兆しが見えるなか、キャンピングカー購入前のリサーチがより大切になっています。スポットが持つメリットを比較して、どんな状況でも愛車がスムーズに駐められるように対策しておきましょう。