キャンピングカーの使い方の実用例をご紹介いたします。
「小ぶりの動く家」さながら、枠にとらわれない多様なスタイルを実現できるキャンピングカー。定番のアウトドアから、ワーキングスペースや防災面とも親和性が高く、その組み合わせ方はまさに変幻自在です。
キャンピングカーが新時代の娯楽空間に
キャンピングカーが新たなトレンドになっている事実は、統計の数値においても如実に表れています。
一般社団法人日本RV協会は、キャンピングカーの市場動向を分析した「キャンピングカー白書」を毎年公表しています。報告書では、2021年のキャンピングカー販売総額が過去最高の635.4億円(対前年比109%)を突破し、直近10年間で約3倍に増加したと公表。累積保有台数も、対前年比106.7%の約136,000台を超え、右肩上がりに数値を伸ばし続けています。
(画像引用元:一般社団法人日本RV協会HPより)
従来のキャンプ需要の高まりに加え、昨今のコロナ禍がブームの起爆剤となったキャンピングカー。特に、ウィズコロナ時代のニューノーマルに適合した理由は、以下の点が考えられます。
- 移動や食事、休憩、就寝までがコンパクトな空間1つで完結する
- ステイホーム期間中も、「庭キャンプ」などで非日常感を味わえる
- 旅費を抑えたリーズナブルな旅行が可能になる
- ソーシャルディスタンスを確保する必要がなく、目的地を自由に選べる
- 時間に束縛されない新たな旅行様式を楽しめる
このようにキャンピングカーは、外部の環境に左右されず、プライベート空間を保持できることに根源的な価値があります。自分や家族に合ったスタイルを追求し、利便性を高めていけることも、近年キャンピングカーが躍進している大きな要因となっています。
キャンピングカーの「レジャー活用術」
王道でありながら、キャンピングカーの新たな魅力を引き出してくれるアウトドアやレジャー。ここでは、娯楽面に特化したキャンピングカーの活用法を、以下の観点から紹介します。
- アウトドアやレジャーの本拠地
- 二拠点生活におけるセカウンドハウス
- ペットとの旅行を楽しめる宿泊所
- 嗜好を凝らした各種パーティーの会場
アウトドア・レジャーの本拠地として
キャンピングカーの十八番ともいうべき魅力は、定番のキャンプや屋外イベントの拠点になることです。四季折々のスキーやマラソン大会、観光地巡り、野外フェス、釣り、天体観測といった場面ごとに、キャンピングカーが即席のベース基地に早変わりします。
キャンピングカーをアウトドアに用いることのメリットは、以下のように多方面に渡ります。
- 旅先での更衣室や待機室として、臨機応変な対応ができること
- 前泊+日帰りなどの自由なセッティングにより、休日を有意義に過ごせること
- 急な悪天候下や緊急時の避難場所になること
- 飲食やトイレの心配がなくなること
- 高齢者や身体が不自由な方の足がわりになること
キャンピングカーという居住空間が身近にあれば、重い旅荷物からは解放され、暑さ寒さに耐える必要もありません。生活アイテムが一式揃っている安心感から、いずれの年代でも気兼ねのない本格レジャーを楽しめるのが利点です。
二拠点生活で田舎暮らしを満喫
「二拠点生活(デュアルライフ)」とは、「都会と田舎」などの2つの拠点を行き来するライフスタイルのこと。似た概念としては、複数の居住地を構える「多拠点生活」や、反対に特定の住居を持たず、渡り鳥のように世界中を転々とする「アドレスホッパー」なる選択肢もあります。これらの一風変わった暮らし方は、キャンピングカーというセカンドハウスがあれば、比較的容易に実現できるものです。
マイホームの代わりにどこでも寝泊まりができることから、感染リスクを避けて、プチ田舎暮らしに切り替えることも可能。キャンピングカーは、新たなライフスタイルが構築・共有される時代において、最強のツールになりえます。
ペットとの車旅&宿泊
キャンピングカーは、ペット連れで悩みがちな「移動手段」と「宿探し」の課題を解消します。
今や愛犬の居住性を意識したキャンピングカーが、新たなアイコンになっているほど大人気。レジャーを遊び倒した体を綺麗にするための洗い場や、暑さ寒さに強い設備も、小さな家族との触れ合いをより高めるためのものです。
愛犬を守るために遠出を控えていた方が、自由気ままなペット旅を楽しめるようになったのはキャンピングカーの功績にほかなりません。
「密回避」な各パーティーの開催
駐車スペースさえあれば、どんな場所でも非日常的なパーティー会場にできるのがキャンピングカー。子どもの誕生日会や打ち上げの場を車内にセッティングするだけでも、特別なサプライズ感を味わえます。
お店では盛んに交流しにくいご時世でも、完全なパーソナルスペースゆえに遠慮は必要なし。抜群のロケーションを愛でながら、通常よりもエキサイティングな催しごとを体験したい方におすすめです。
キャンピングカーの「ワーク活用術」
続いては、 「動くオフィス」としてのキャンピングカーの使い方を、以下の観点から説いていきます。
- リモートワークに最適な第2の仕事場
- 創作活動を行うための作業スペース
- 子ども部屋や書斎
キャンピングカーは、新たな潮流となった場所や時間に捕われないワークスタイルとも好相性です。
テレワーク&ノマドワーク
特定のオフィスに滞在せず、さまざまな環境で働くことを意味するリモートワークやノマドワーク。昨今、これらの就業スタイルにキャンピングカーを付加価値として取り入れるワーカーたちが急増しています。
在宅でも、社内でもない、真の自由を求めてキャンピングカーを選択することのメリットには、いくつもの面白味があります。
- 好みの駐車場所を選んでプライベートオフィスとすることができる
- 外部からの視線や接触がなく仕事に集中しやすい
- 取材や企画調査、営業の足としてそのまま利用できる
- プライバシーが保たれるため、リモート会議などで商談がしやすい
なお、キャンピングカーに数人が乗り合わせるスタイルにより、移動型オフィスとして機能している例もあります。
アイデア・ものづくりの場
キャンピングカーは、仕事と遊びを両立させた「ワーケーション」という働き方も可能にします。
そもそもクリエイティビティはデスク上よりも、豊かな観察眼や逆境を通して生まれることが多いものです。全国どこでも仕事場にできるキャンピングカーは、いろいろな体験談を吸収できるため、アイデアの宝庫ともなりえます。
あるいは、密室空間で無心になれることから、ものづくりを生業としている方の後押しをしてくれる面もあります。
離れの子ども部屋
キャンピングカーを自宅の離れに位置づけ、独立した子ども部屋にするのも魅力的です。庭キャンプや星空キャンプの延長線上にある車内では、幼少期の遊び心がくすぐられること間違いありません。
一定以上の年齢になると、今度は生活音から離れるための勉強部屋として活用することも可能。たとえ子どもが巣立っても、書斎や趣味の部屋に模様替えするなどして、新たに楽しむことができます。
キャンピングカーの「ライフ活用術」
最後に、キャンピングカーを臨時的なシェルターとして用いる手法やメリットを紹介します。
自然災害の多い日本は、防災対策としての備えを欠くことができない国です。意外に思われるかもしれませんが、時にキャンピングカーもまた、大切な人命を救うかもしれない防災上の役割を担うケースがあります。
コロナ療養・感染対策
コロナ対策の一環として、家庭内の感染者や濃厚接触者をキャンピングカーに隔離する方法が考えられます。自宅の駐車場に留まることができるため、看護の手が届きやすく、大きな不安からも解放されるかもしれません。
特に家族が大切な行事を控えている場合は、キャンピングカーに一時的なバリアの役を担ってもらうのがおすすめです。
災害時のシェルター
キャンピングカーに備蓄品を忍ばせておけば、有事の時もひとまず安心です。ペットと同伴で避難することができない状況でも、キャンピングカーに乗り込めば周囲の邪魔にもなりません。
電気・ガス・水道などのインフラが一式揃っているうえに、生活設備にも困らない車内はストレスフリーでもあります。万が一、第2の災害が起こりうる場合は、キャンピングカーを安全な場所まで走らせたうえで寝泊まりすることも可能になります。
「夢の移動空間」を創意工夫してみましょう
キャンピングカーは、時代の変化とともに多様な役割を担うことのできる車です。アウトドアの本拠地や別荘、客室、避難所としての姿は、魅力のほんの一部かもしれません。マイホームとは異なる第2の住居として、その利便性やバラエティーの豊富さをぜひ体感してみてください。