サブバッテリーの新たな充電方法として、キャンピングカーへのソーラーパネルの設置を提案いたします。
ソーラーパネルは、再生可能エネルギーであり自然や環境に優しく、しかも発電機のような騒音もなく静かに充電してくれる優れものです。また、出かけた先で、より多くの電気製品を、電気容量を気にせず使用したいなどの希望を叶えてくれます。
そこでこの記事では、キャンピングカーにソーラーパネルを取り付けるメリット・デメリットをはじめ、基礎知識や選び方、費用を解説します。
再生可能エネルギーのソーラーパネルはサブバッテリーの充電に便利
従来のエンジンもしくは外部電源によるサブバッテリーへの充電に加えて、ソーラーパネルによる充電を用いるとよいでしょう。再生可能エネルギーであるソーラーパネルは、地球環境保護にも一役買うとともに、従来の充電方法のさまざまな制約や欠点を補完する手段として有効です。
ここでは、サブバッテリーへの充電方法をはじめ、ソーラーパネルを取り付けるメリット・デメリットをお話しします。
サブバッテリーへの充電方法は3通り
サブバッテリーへの充電方法は、エンジンによる充電、外部電源による充電、ソーラーパネルによる充電の3通りがあります。
エンジンによる充電は、文字どおりエンジンを回転させてバッテリーを充電する方法です。キャンピングカーのメインバッテリーへの充電が優先されることや、キャンプ場など静粛性が求められる場所での騒音がデメリットです。
外部電源による充電は、ご自宅やバッテリーのチャージポイントで充電する方法です。充電設備が必要であり、場所の制約を受けます。また、なかには費用が発生するチャージポイントもあります。
ソーラーパネルによる充電は、ソーラーパネルで発生した電気をバッテリーに蓄える方法です。キャンピングカーへの取り付けのほかに折り畳み式のソーラーパネルもあります。
ソーラーパネルなら自動で充電
天気がよければ自動的に充電する点が、ソーラーパネルの何よりものメリットです。太陽光により走行中も、停車中も常に充電しており、電源確保にまつわる不安が解消されます。また、災害にともなう停電時の非常電源としても活躍します。
ソーラーパネルは再生可能エネルギーです。音を立てることなく静かに充電するとともに、地球環境問題への寄与やエコなライフスタイルを実現します。
一方、ソーラーパネルのデメリットは、充電性能が天気や日照時間に左右される点です。また、快晴であっても、日陰だと充電されません。このほか、発電能力がキャンピングカーの天井の面積に制約を受けることや、パネルの取り付けや配線に際し天井への穴あけがデメリットです。
キャンピングカーに取り付けるソーラーパネルにまつわる基礎知識
今日では多様な種類や性能のソーラーパネルが販売されています。その反面、製品の数が多いことから、製品選びに迷われる方が多いそうです。また、ソーラーパネルで作られた電気を使用するには周辺機器が必要であり、機器の種類や充電システムの構成も検討しなければなりません。
そこで、ソーラーパネルや充電システムに関する基礎知識に加え、ソーラーパネル購入時に確認すべきスペックを説明します。
ソーラーパネルの種類と特徴
現在販売されているソーラーパネルは、使用する材料により、シリコン系、化合物系、有機系に大別できます。キャンピングカーで主に用いられている、シリコン系ソーラーパネルの種類や特徴をまとめてみました。
- 単結晶シリコンソーラーパネル
- シリコンの結晶が規則的に並べられているタイプです。他のタイプと比較して価格が高いものの、発電効率をはじめ、性能や信頼性も高いです。
- 多結晶シリコンソーラーパネル
- 単結晶シリコン製造時の余りや規格外のシリコンの結晶を用いて作られています。単結晶シリコンの製品と比較して発電量が少ないものの、価格の安さが魅力です。
- 薄膜シリコンソーラーパネル
- 「アモルファスシリコン」とも呼ばれている、非常に薄いシリコン膜を用いたタイプです。軽量かつ曲面加工が容易な反面、他のタイプと比較して発電効率が低い難点があります。
ソーラーパネル以外に必要な機器とは
ソーラーパネルとバッテリーを直接つなぐことはできません。両者の間に、充電電圧の制御や過充電防止などをおこなうチャージコントローラーを配置します。
チャージコントローラーには、PWM制御方式とMPPT制御方式があり、PWM制御方式が一般的に用いられており、かつ安価です。なお、チャージコントローラーは、鉛蓄電池やリチウムイオン電池など、対応するバッテリーの種類、およびソーラーパネルの開放電圧、出力電流に見合う製品を選びます。
また、新たにサブバッテリーを設ける場合は、家庭用の電源コンセントと同じ交流100Vに変換するDCACインバーターが必要です。
DCACインバーターには、正弦波式と擬似正弦波式の2種類があり、より多くの電気製品への適合を考えるなら正弦波式がよいでしょう。また、DCACインバーターは、機種により連続使用時間が定められていることから、使用条件を勘案したうえで製品を選びます。
ソーラーパネルは出力(W)だけでなく電圧・電流もチェック
ソーラーパネルは、発電量を示す最大出力ワット(W)が大きいほどよいとは限りません。ソーラーパネルの性能を示す、ワット(W)と電圧(V)、電流(A)の関係から解説します。
電力を表す単位であるワット(W)は、以下の計算式で表されます。
電力(W)が大きいソーラーパネルほど高性能に見えるものの、ソーラーパネルの充電性能の計算に際しては、電流(A)を使用しています。
200W・50V・4Aの場合:4A×1h=4Ah
100W・20V・5Aの場合:5A×1h=5Ah
1時間あたりの充電性能を比較すると、100Wのソーラーパネルのほうが高くなります。ソーラーパネルを比較する際は、出力(W)だけでなく電圧(V)、電流(A)をチェックしましょう。
ソーラーパネル取り付けの具体例
ソーラーパネルを購入する前に、サブバッテリーの容量や種類を確認しておかなければなりません。というのは、蓄電する容量をはっきりさせておかないと、必要となるソーラーパネルの性能が決められないからです。ソーラーパネルの選択を誤ると、満充電までに1週間必要になる、あるいは過剰スペックで無駄になる可能性があります。
それでは、ソーラーパネルの具体的な取り付け例を、製品を選択するポイントを押さえながら順を追って見ていきましょう。
使用するサブバッテリーの容量を確認する
まず、サブバッテリーのスペックを確認しましょう。確認する項目は、バッテリーの種類、電圧、容量です。
バッテリーの種類は、鉛蓄電池やリチウムイオン電池など使用材料を確認します。これは、チャージコントローラー購入時に必要になります。
バッテリーの電圧および容量は、以下のように表示されています。
- 12V100Ah
- 12V1200Wh
いずれも電圧は12Vですが、容量の表示方法が異なっています。一般的に鉛蓄電池はアンペアアワー(Ah)を、リチウムイオン電池はワットアワー(Wh)で示されているようです。
100Ahの場合、10(A)の電気製品ならば10時間使用可能、5(A)の電気製品ならば20時間使用可能を意味しています。また、この(Wh)で表された容量を(Ah)に変換したい場合は、1200(Wh)を12(V)で割ると、100(Ah)が得られます。
なお、バッテリーは表示された容量の70~80%が実際に使用できる電気容量です。
ソーラーパネルはサイズと変換効率で発電能力が決まる
ソーラーパネルは、単結晶シリコンなどタイプが同じであれば、サイズと変換効率で発電能力が決まります。
たとえば400W 20V 変換効率21.5%のソーラーパネルの場合、平均的な1日の充電時間3.5hを用いて発電量を計算すると以下のようになります。
このソーラーパネル1枚で、容量100(Ah)のバッテリーの70%を1日で充電できる計算になります。サブバッテリーを丸ごと充電する場合は、ソーラーパネル2枚を並列でつなぐなどして、面積を増やします。
キャンピングカーの天井の面積などにより設置枚数に制限を受ける場合は、より変換効率の高いソーラーパネルを選ぶか、薄型のソーラーパネルを用いて曲面に設置するなどの工夫をするとよいでしょう。
なお、取り付け工事費は、取り付け方法や車種により異なることから、施工店に確認します。
キャンピングカーへのソーラーパネルの取り付けはプロに任せましょう
今日では、ソーラーパネルの人気の高まりとともに、動画などでDIYによるキャンピングカーへの取り付けが紹介されています。しかしながら、ソーラーパネルの取り付けに際し、以下の点に注意が必要です。
- 天井やボディーへの穴あけ、および配線が必要になる。
- 取付け強度不足で走行中に外れる危険性がある。
- なかには重量のある製品もあり、車両強度や車両重量に影響する可能性がある。
車体の損傷やトラブルを避け、安全にソーラーパネルを活用するために、専門店での取り付けをおすすめします。
また、ソーラーパネルの充電性能を継続的に発揮させるために、鳥のフンや汚れの除去や定期的なメンテナンスを忘れずにおこないましょう。