キャンピングカーブームの背景や今求められているキャンピングカーを解説します。
一般社団法人日本RV協会(以下、日本RV協会)の「キャンピングカー白書2022」によると、2021年のキャンピングカー販売額が、新車、中古車を合わせて635.4億円に達し、過去最高を記録しました。また、キャンピングカー累積保有台数も136,000台と過去最高となり、キャンピングカーの愛好者が増え続けています。そこで、日本RV協会のデータを紐解きながらブームの背景や、キャンピングカーのトレンドを解説します。
今なぜキャンピングカーがブームなのか
キャンピングカーブームの解説に用いる統計データは、一般社団法人日本オートキャンプ協会(以下、日本オートキャンプ協会)による「オートキャンプ白書2022」、および日本RV協会による「キャンピングカー白書2022」です。いずれのデータも定期的に調査が続けられており、トレンドを読み解くかぎりキャンピングカーブームが続いています。まずこれらのデータを紹介するとともに、ブームの背景を解説します。
キャンピングカーブームを裏付けるデータを読み解く
まず、オートキャンプ場の利用動向を見てみましょう。
参照元:日本オートキャンプ協会「オートキャンプ白書2022」
オートキャンプ参加人口(推定値)では、2012年の720万人から年々右肩上がりに増加し、2019年には860万人となりました。2020年は、新型コロナウイルスの感染拡大により大幅に減少しましたが、2021年は増加に転じて750万人まで回復しています。また、オートキャンプ場稼働率の推移も、参加人口の推移と同様のトレンドを描き、2021年に過去最高を記録している点が特徴です。
つづいて、キャンピングカーの保有台数、販売台数を見てみます。
キャンピングカーの保有台数は、2005年の50,000台から増加をつづけて、2021年には約2.7倍の136,000台を記録しました。また、ここ2年は年8,000台を上回るペースで増えています。もちろん、キャンピングカー販売台数も増加傾向にあり、特に2011年との比較では、水回りなどの設備が整った8ナンバーのキャンピングカーが約3倍と顕著に増加しています。
キャンピングカーブームの背景
1990年代の第一次キャンプブームが収束したのち、2010年頃から第二次キャンプブームが始まりました。オートキャンプ場の平均稼働率を見ても、2011年を底に増加に反転しています。第二次キャンプブームが第一次と大きく異なる点は、ファミリー中心の第一次に対し、ソロキャンパーが増えていることです。日本オートキャンプ協会による調査では、2021年の傾向として「ソロキャンパー」が増えたと63.8%のキャンプ場が回答しています。このように、キャンピングカーブームの土壌には、第二次キャンプブームがあります。
さらに、新型コロナウイルス感染拡大が、ブームに拍車をかけました。公共交通機関や宿泊施設での三密回避を狙う層がキャンピングカーを利用するようになったそうです。日本オートキャンプ協会による調査では、利用者が増えたキャンピング場のうち78.2%が、「コロナ禍による影響(三密回避など)」を理由に挙げています。
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キャンピングカーブームを支える層と利用方法とは
それでは、一体どの年齢層がキャンピングカーを購入しているのでしょうか。日本RV協会の「キャンピングカー白書2022」によると、40歳代以上がキャンピングカー購入者の約8割を占めています。また、キャンピングカーの利用方法では、レジャー用途が最も多いものの、第二のリビングルームや災害時の避難場所として利用されるなど変化してきました。ここでは、キャンピングカーを購入する年齢層と活用方法を見ていきます。
キャンピングカーは40歳代以上の年齢層が約8割を占めている
以下のグラフは、キャンピングカー販売店に来店した顧客の年齢層の割合を示しています。
2021年のデータでは、50歳代が32.1%と最も多く、次いで40歳代25.9%、60歳代以上23.6%となっています。上位3位を合計すると81.6%となり、40歳代以上の層が全ユーザーの約8割を占めています。
また、2018年と2021年の比較では、30~50歳代の層が占める割合が増えてきており、50歳代2.3%、30歳代2.0%、40歳代1.4%の順に拡大しています。おそらく、キャンプブームやソロキャンパーの増加が寄与していると思われます。
レジャーだけでなく活用方法が広がるキャンピングカー
つづいて、日本RV協会がキャンピングカーを所有している、あるいは興味を持っている方におこなったアンケートの調査結果を見てみます。
参照元:日本RV協会
このアンケート結果から、キャンピングカーの利用方法として、「レジャー用途」が61.6%と最も多いことがわかります。また、「生活用途」や「仕事用途」としての利用も想定されており、キャンピングカーの活用の幅が広がっているようです。その他には、「来客時の宿泊スペース」との回答があり、三密回避対策と考えられています。
災害時の避難場所としても期待されている
今日では、キャンピングカーは災害時の避難場所としても期待されています。以下は、停止状態のキャンピングカーの活用方法の調査結果です。
参照元:日本RV協会
停止状態では、「災害時の避難場所」としての利用が35.7%と最も多く、つづいて「第2のリビングスペース」、「趣味の部屋」の順になっています。キャンピングカーは、公共の避難所とは異なりプライベートな空間を確保できる点や、生活に必要な設備が整っている点が評価されているようです。
今求められているキャンピングカーとは
今日では、キャンピングカーの居住性や快適性、あるいは設備の充実が重視されるようになり、600万円を超える高価格帯のキャンピングカーが増えています。併せて、ソロキャンプユーザーの増加により軽キャンピングカーの人気が高まるとともに、けん引免許不要の小型キャンピングトレーラーもライトユーザーに支持されてきました。最後に、今求められているキャンピングカーを解説します。
居住性や快適性、設備の充実が重視され高価格帯が増加
以下のグラフは、キャンピングカーの装備品に対するユーザーの関心度を示しています。
電源システムやバッテリーなどの電源、およびヒーターやエアコンなどの空調が上位を占めており、居住性や快適性に対するニーズが高いようです。また、冷蔵庫やテレビ、ドライブレコーダーなどの設備の充実にも関心が高くなっています。災害時の備えや第二のリビング、および仕事場としての活用方法の広がりも、設備の充実を後押ししているようです。
居住性や快適性、および設備の充実を求めるニーズに応えるように、高価格帯のキャンピングカーが増加しているようです。最も購入が多い価格帯は400~500万円であるものの、居住性志向を反映した結果として、600~1500万円の価格帯の合計が54.1%を占めています。
キャンピングカーは、キャブコンおよびバンコンに大別されます。このうち、設備の充実や利用人数を重視する層はキャブコンに、足回りや運転の容易さを重視する層はバンコンを選択しているようです。
軽キャンピングカーで一人あるいは夫婦で気軽にキャンプ
一人でソロキャンプを楽しみたい、あるいは夫婦で気軽に旅行したいと希望される、軽キャンピングカーのユーザーも増えてきました。200~300万円と比較的安くキャンピングカーを入手できることや、税金や車検、高速道路料金なども安く抑えられる点が評価されています。
また、2022年4月から8ナンバーキャンピングカーの構造要件が緩和されました。従来は2名分必要であった就寝設備が1名でよくなるなど、8ナンバー軽キャンピングカーの自由度が拡大し、今後はモデルが増加すると見られています。
けん引免許不要の小型キャンピングトレーラーも人気急上昇
最近では、けん引免許不要の小型キャンピングトレーラーの人気が上昇してきました。総重量を750kg以下に抑えてけん引免許を不要とした点や、装備によるものの新車でも200万円台で購入できる点が評価され、手軽にキャンピングカーを楽しみたいライトユーザーを中心に広がりを見せています。
ブームに合わせて商品ラインナップも充実してきており、ベッドはもちろん、キッチンや冷蔵庫、トイレやシャワーがついたモデルも販売されています。
ニーズに合わせたキャンピングカー選びを
今日では、従来の使い方であるキャンプや旅行だけでなく、第二のリビングや仕事場として、あるいは災害時の避難所として利用方法の幅が広がってきました。活用方法が広がるにつれて、快適性や居住性へのニーズが高まり高価格帯のキャンピングカーが増加しつつあります。一方で、ソロキャンパーや夫婦向けの軽キャンピングカーやけん引免許不要の小型キャンピングトレーラーの人気も底堅く、キャンピングカーの種類がバラエティーに富むようになってきました。
目的や利用方法に合わせてキャンピングカーをじっくり探せば、ニーズに合う車がきっと見つかるはずです。