キャブコンのベース車の定番である、トヨタ「カムロード」にスポットライトを当ててお話しします。
カムロードは、今やキャブコンのベース車の代名詞といっても過言ではありません。とはいえ、キャンピングカー購入時は、ベース車より居室や装備に目を向けられる場合がほとんどです。そこで、20年以上もキャンピングカーのある暮らしを支えてきた、カムロードの歴史やベース車事情、および4代目となる新型のカムロードについてまとめてみました。
カムロードはキャンピングカーのために生まれた車種
キャンピングカーを探していると、ボンゴ、ハイエースなどさまざまなベース車があるなかで、ひときわ多い車種がカムロードです。そもそもトヨタのカムロードとは、いったいどのような車なのでしょう。はじめに、カムロードの誕生から今日までの歴史、およびネーミングの由来などをお話しします。併せて、カムロード以外のベース車や、他の車両をベース車に使用する場合の注意点を解説します。
1997年に誕生したキャンピングカー専用のベース車
カムロードは、1997年に国産のキャブコンのベース車として産声をあげました。1990年代は、第一次キャンピングブームであり、家族でキャンピングを楽しむ人が増えてきたものの、キャブコンのベース車にはトラックが使用されていたのです。そこで、日本RV協会がトヨタに依頼し、キャンピングカー専用車両を誕生させました。なお、カムロードは、英語のCamper(キャンパー)とRoadability(走行性能)を組み合わせて創った名前であり、キャンピングカーを楽しもうとの願いが込められています。
カムロードのベースとなるトラックは、トヨタ「ダイナ」(以下、ダイナ)です。ダイナをベースに、キャンピングカー専用のサスペンションを取り付け、加えて、走行を安定させるためにリアタイヤの左右の距離を広げています。ダイナのモデルチェンジに合わせてカムロードも進化し、現行のカムロードは4代目となります。この間、走行性能が向上するだけでなく、排ガス規制への適合、安全装備の追加など時代に合わせて変化してきました。
カムロード以外にキャブコンのベース車はある?
もちろん、カムロード以外にも、いすゞのBe-cam、ヨーロッパで使用されているフィアットのデュカトといったキャブコンのベース車があります。しかしながら、Be-camやデュカトをベースとして用いているキャンピングカービルダーが限られており、カムロードほど台数が多くはありません。
また、1997年以前のように、カムロード以外の車両をベースにキャンピングカーに改装できます。なかには、ビルダーがカーディーラーにキャンピングカー用の特別設定車を依頼する場合もあるようです。サスペンションの交換やセッティング、走行安定性の確保、法定基準のクリアなど課題が多く、それなりに費用がかさみます。カムロードは、低コストで普遍的にキャンピングカーとして使用できる点で優れています。
4代目カムロードが2021年に登場
1999年に、カムロードのベースとなるダイナが、「21世紀の物流をリードするトラック」を開発テーマとして、フルモデルチェンジされました。排ガスなど環境に対応したエンジン、ミッションの変更、安全装備の追加など、随所に手が加えられています。それでは、ダイナのフルモデルチェンジから2年後の2021年に登場した4代目カムロードの3代目との違い、および4代目から運転に必要となる準中型免許について解説します。
3代目と4代目の大きな違いとは?
4代目カムロードは、ガソリンエンジンは3代目と同じであるものの、ディーゼルエンジンは、排気量が2,982から2,754リットルのクリーンディーゼルエンジン(最大出力は同じ 144ps/3400rpm)に変更されました。また、排気ガスの浄化に用いるアドブルーのタンクが追加されたため、軽油タンクが80リットルから60リットルに小さくなっています。
3代目は一部モデルのみリアタイヤがダブルでしたが、4代目は全モデルでダブルタイヤとなりました。モデルを問わず、エアコンや大容量バッテリーなどの装備の充実に応えられます。
このほか、全モデルのミッションが4速ATから6速ATへ変更になるとともに、マニュアルのような操作感覚が味わえるシーケンシャルシフトが採用されました。
ブレーキアシストなど安全装備も進化
衝突被害軽減ブレーキなどの義務化に対応すべく、4代目カムロードも衝突回避や被害低減に向けたアシストブレーキや車線逸脱警報装置、踏み間違えを検知するとドライバーに警告する前身誤発進抑制機能などの安全装置が装着されました。
また、ブレーキにはタイヤのロックを防止するABS、車両安定制御システム(VSC)、駆動輪の空転を抑えるなど走行安定性を確保するトラクションコントロール(TRC)も装備されています。
加えて、ヘッドライトがLED化され、夜間走行時の視認性が向上するとともに、4WD車には標準でヘッドランプクリーナーが装備されました(他モデルはオプション)。
新型カムロードの運転には準中型免許が必要になる
4代目カムロードは、安全装備が標準化されるなど進化を遂げる一方で、車両総重量が3,500kg以上になる点に注意しなければなりません。というのは、現行の運転免許制度では、車両総重量3.5tの車を運転するには準中型免許が必要となるからです。
普通運転免許の取得時期により運転可能な車両総重量が異なっており、平成29年3月12日以降に運転免許を取得した人は、普通免許だけで4代目カムロードの運転はできません。平成29年3月11日以前に免許を取得された人は、「中型車は中型車(8t)に限る」や「準中型で運転出来る準中型は準中型車(5t)に限る」と免許証に記載されており問題ありません。
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安心定番のカムロードで快適にキャンピングカーライフを
1997年に誕生した、国産のキャンピングカーのベース車両であるカムロードは、20年以上キャンパーに愛され続けるとともに進化を遂げてきました。また、他のベース車に比べて、数多くのキャンピングカービルダーがカムロードを採用しており、多種多彩なキャブコンが世に送り出されています。
4代目となる新たなカムロードは、安全性や快適性が向上する一方で、アドブルーの補給(ディーゼル車のみ)や準中型免許が必要です。新たな注意点に気をつけながら、定番のカムロードでキャンピングカーライフを満喫しましょう。