今やキャンピングカーの快適性向上の必需品となったエアコンについてお話しします。
キャンピングカーの快適性のほか、家族やペットの体調管理など、エアコンを設置するメリットは数多くあります。とはいえ、今日では従来の車載エアコンに加え、家庭用エアコンを取り付ける例も増えてきており、どのような機種を選べばよいのか悩むところです。そこで、エアコン選びのポイントをはじめ、車載用エアコンと家庭用エアコンの違いなど、タイプごとの特徴をまとめてみました。
エアコンを取り付けるメリットや設置する際の注意点とは
キャブコンやバンコンなど、キャンピングカーのベース車にはエアコンがついているものの、常に稼働させるためにはエンジンをかけておく必要があります。しかし、オートキャンプ場などオートキャンパーが集まる場所では、騒音の関係で難しいものです。このため、エンジンを停止しても室内を快適な温度に保つために、エアコンは必須の装備といえるでしょう。はじめに、キャンピングカーにエアコンを取り付けるメリットをはじめ、エアコン選びの注意点をお話しします。
キャンピングカーにエアコンを取り付けるメリットは何?
エンジンを切っても車内の温度を快適に保てる点が、キャンピングカーにエアコンを取り付ける最大のメリットです。エアコンのためだけとはいえ、エンジンを回していると、オートキャンプ場など静粛性が求められる場所では苦情になりかねません。今日では夏場のみならず、冬場にキャンピングカーを利用される方が増えてきており、一年を通じて室温を調整できるエアコンは重宝されています。
また、夏場は車内の温度が40度以上になるため、熱中症対策や体調管理にエアコンは必須です。特に小さなお子様やペットとお出かけする場合は、室温の管理が重要となるため、エンジンを切っても空調をコントロールできるエアコンを取り付けましょう。
最近ではキャンピングカーを、第二の客室やプライベートスペース、あるいは災害時の避難場所として活用されているようです。エアコンを設置すると、自宅の駐車場でエンジンをかけっぱなしにすることなく、いずれの用途にも活用できます。
エアコンの設置で重要な要素は電源と設置スペース
キャンピングカーにエアコンを設置する際に、注意を要する重要な要素は、電源と設置スペースです。
エアコンの電源は、給電方法、電源方式に気をつけなければなりません。給電方法は、サブバッテリーか外部電源のいずれかとなります。他の電気製品の使用やエアコンの長時間使用を予定する場合は、サブバッテリーの容量に余裕を持たせなければなりません。また、バッテリーの充電をするために、エンジン、外部電源、ソーラーパネルを組み合わせるなどの工夫が必要です。このほか、車載用はDC(直流)12V、家庭用はAC(交流)100Vと電源方式が異なるため、家庭用を設置する場合はインバーターが必要になります。
キャンピングカーのスペースは限られていることから、エアコンの設置スペースも検討しておかなければなりません。荷物のスペースをつぶして室外機を取り付けるなど、車両のサイズや使用目的に応じてスペースのマネージメントをおこないましょう。また、室内機・室外機分離型や一体型のエアコン、あるいはスポットクーラーなど、用途に応じて機種を選択するとよいでしょう。
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車載用エアコンvs家庭用エアコンどちらを選ぶ
以前は、キャンピングカーのエアコンといえば車載用が主流でしたが、最近では家庭用エアコンを取り付けるキャンピングカーが増えているようです。車載用エアコンと家庭用エアコンにはどのような違いがあるのでしょうか。購入した時点でいずれかのタイプのエアコンが標準装備で付属している場合は、選ぶ必要はありませんが、オプションや後付けにする際の参考として、特徴やメリット・デメリットを解説します。
車載用エアコンの特徴とメリット・デメリット
キャンピングカーに搭載する車載用エアコンは、DC12Vで稼働し、かつコンパクトに作られています。
常に振動を受ける車載を前提に設計・製造されており、振動や温度変化、および室外機の融雪剤(塩化カルシウム)への耐久性など、家庭用エアコンと比較して製品強度が高い点が何よりものメリットです。また、DC12Vで稼働するためインバーターを必要とせず、電源回路の構成がシンプルになります。
しかし、車載用エアコンは製品ロットが少ないため価格が高くなることや、家庭用エアコンより製品の数があまり多くありません。このほか、キャンピングカーのサイズによっては、家庭用エアコンより冷房能力に物足りなさを感じることもあるようです。
家庭用エアコンの特徴とメリット・デメリット
キャンピングカーに、普段家庭で使用しているエアコンを設置する方法です。AC100Vで稼働するため、バッテリーから給電する場合、インバーターが必要になります。
キャビンの広さやキャンピングカーのスペースの関係上、6畳用など小型の製品からの選択になるものの、車載用と比べて製品の種類が豊富です。また、エアコンとしての能力が高いうえに、除湿など機能が充実している点も家庭用エアコンのメリットといえるでしょう。
しかしながら、家庭用エアコンは据え付けての使用を前提に設計されており、車載時に受ける振動への強度は未知数です。使用条件によっては、エアコンのガス漏れの頻発や寿命が極端に短くなる可能性もあります。
スペースを重視する場合はコンパクトなタイプのエアコン
他の荷物やキャンピングカーの用途により、室内機・室外機分離型のエアコンでは、機器やバッテリーの設置スペースの確保が難しい場合もあるでしょう。また、バンコンや軽キャンパーは、スペースの問題で設置が困難なだけでなく、そもそも大きなエアコンは必要としません。おしまいに、ルーフエアコン、室内機・室外機一体型、スポットクーラーと、比較的スペースを必要としないコンパクトなエアコンを紹介します。
場所をとらないルーフエアコン
ルーフエアコンは、室内機と室外機がセットになった機器を天井に設置するため、場所をとらない点が何よりものメリットです。機器のサイズや機能、および入力電圧、消費電力は製品により異なります。今日では、耐久性に優れた海外メーカーの製品が、以前より購入しやすくなっています。しかし、消費電力が大きくサブバッテリーのみでの長時間運用が向いていない、あるいはオートキャンプ場のブレーカーが落ちる製品もあるため、製品仕様を確認したうえで購入しましょう。
なお、ルーフウインドウのない車両に取り付ける場合、設置に際して天井への穴あけや防水処理のため、専門店による工事が必須です。
RVTOYO パーキングクーラー
- 価格:247,500円(税込)
- 入力電圧:DC12V
DC12Vで稼働し、室外機の大きさ804mm×804mm、室外機の高さ177mmとコンパクトに設計されています。ただし、クーラー機能のみです。
(出典:RV東陽)
室内機・室外機一体型でスペースを確保
家庭用の室内機・室外機一体型のウインドエアコンは、室外機の設置スペースが不要になるメリットがあります。ただし、ウインドエアコンの多くは冷房専用です。入力電源AC100Vであり、サブバッテリーで長時間運転をおこなう場合は、消費電力の小さい機器を選択するか、バッテリー容量を増やすなどしましょう。
ウインドエアコンの設置には、排気口の確保のほか、製品によっては排水ドレンが必要です。また、車体への穴あけや取り付け、防水工事など、専門店による工事が必要です。
TOYOTOMI 窓用エアコンTIW-A160M
- 価格:72,800円(税込)
- 入力電圧:AC100V
幅361×奥行き275×高さ742(mm)とコンパクトで、かつ消費電力が少ない窓用エアコンです。ノンドレン設計であり、排水ドレンが不要です。
(出典:TOYOTOMI)
とにかくコンパクトなスポットクーラー
とにかく場所をとりたくない、あるいは設置するスペースがないなど、軽キャンパーなどコンパクトさを重視される場合は、スポットクーラー(製品によっては、ポータブルクーラー)がおすすめです。車載用DC12V、家庭用AC100Vいずれも製品が出回っています。
Stage21 ポータブルクーラー冷え蔵Ⅱ EX
- 定価:38,280円(送料別)
- 入力電圧:DC12V
12Vシガー電源ケーブルが付属している、車載用のポータブルクーラーです。他のエアコンと異なり冷媒方式でないため、排気ダクトや室外機との接続は不要となるものの、保冷剤や氷の定期的な補充が必要です。
(出典:Stage21)
コイズミ ポータブルクーラー「ラ・クール」
- 価格:96,230円(税込)
- 入力電圧:AC100V
室内機・室外機合わせて18.8kgと若干重量がありますが、コンパクトかつ本格的なエアコンです。接続ホースは切り離し不可能なものの、長さが2mと設置の自由度が高めです。
(出典:コイズミ)
キャンピングカーの大きさや使用目的に合わせたエアコン選びを
室内の快適化や夏場の暑さ対策だけでなく、日常生活のプライベート空間として、または災害時の避難所としてキャンピングカーを利用するために、今やエアコンは必需品です。エアコンの消費電力やサブバッテリーの容量を見極めつつ、車の大きさや使用目的に合わせた性能やサイズのエアコンを選びましょう。
また、車体への穴あけや配線・配管工事を要する場合は、車体の強度不足や雨漏りなどのトラブルを避けるために、専門店での取り付けをおすすめします。