本記事ではキャンピングカービギナーに向けて、運転する際の主要な注意点などをご紹介しています。近年は手ごろな価格でレンタルできるキャンピングカーも多く、運転しようと思えば誰でも挑戦することができます。家族や友人と楽しむことを目的に、キャンピングカーの運転を考えているというビギナーの方も多いのではないでしょうか。
一方で、旅行やキャンプに適した設計のキャンピングカーは、普通乗用車よりも運転が難しいとされます。普通乗用車と変わらないサイズのバンコンや軽キャンパーなども存在しますが、キャブコンなどのキャンピングカーを利用する際は車体サイズや運動特性を踏まえた運転が必要となるでしょう。
キャンピングカーは普通自動車免許があれば初心者でも運転できる
一般的なキャンピングカーであれば普通自動車免許(普通自動車第一種運転免許)で運転できます。これは日本国内で販売されているキャンピングカーのほとんどが、普通自動車免許の「車両総重量3.5トン未満、最大積載量2.0トン未満、乗車定員10人以下」という条件に合致するからです。
例えばワンボックスやミニバンをベースとしたバンコン(バンコンバージョン)はもちろん、専用のシェルを架装したキャブコン(キャブコンバージョン)といった人気のモデルも運転できます。なおバスコン(バスコンバージョン)などの大型車両は基本的に中型自動車免許が必要となりますが、乗車定員10人以下で車体サイズの条件を満たせば普通自動車免許でも運転できます。
免許の取得時期によってはさらに幅広いキャンピングカーが運転可能
免許の取得時期によっては、運転できるキャンピングカーの種類がさらに広がります。例えば2007年6月1日以前に免許を取得している場合は、普通自動車免許で中型自動車(8トンまで)を運転することが可能です。
- 中型自動車(8トン限定):車両総重量8トン未満、最大積載量5トン未満、乗車定員10人以下乗車定員は普通自動車
- 免許と同じですが、モデルを問わず幅広いキャンピングカーを運転できます。また、2017年3月からは道路交通法が改正され新たに「準中型」が新設されました。
- 準中型自動車:車両総重量3.5トン以上7.5トン未満、最大積載量2トン以上4.5トン未満、乗車定員10人以下
- こちらも乗車定員は10人以下となっていますが、現行の普通自動車免許より運転できるキャンピングカーの種類は多くなります。キャンピングカーは同じカテゴリーでも車両総重量や最大積載量に差があるため、レンタルをする際はよく確認しておく必要があるでしょう。なお、自走式ではないキャンピングトレーラーは750キログラム未満であれば普通自動車免許でけん引が可能です。
キャンピングカーと普通乗用車ではサイズ以外にもさまざまな違いがある
キャンピングカーと普通乗用車の大きな違いは車両のサイズや重量です。キャンピングカーは寝泊りなどの機能に特化して改良されているという特徴があります。バンコンなどベース車両とほぼ変わらない外観を持つキャンピングカーもありますが、キャブコンなどは居住スペースを架装している分車体サイズは比例して大きくなります。
また、居住スペースなどの設備を搭載しているため、普通乗用車より重量は増える傾向にあります。キャンプや旅行で使うための荷物などを積み込めば、さらに車両の重量は増えてしまうはずです。この他にも居住スペースが確保されたキャンピングカーはバックミラーが見えないため、サイドミラーやバックモニターを確認しながら運転するという特徴もあります。
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キャンピングカーを運転する際には5つのポイントに注意
キャンピングカーを運転する際に特に注意しておきたいのは下記の5つのポイントです。
- スピードの出し過ぎ
- ハンドル操作・ブレーキ
- 交差点やカーブでのハンドル操作
- キャンピングカーの高さ
- シートベルトの着用と荷物の固定
キャンピングカーと普通乗用車では、サイズや重量以外にもさまざまな違いがあります。ある程度慣れが必要なのも事実ですが、事前に注意点を確認しておけばビギナーであっても安心して運転できます。
スピードを出し過ぎず安全運転を心がける
高速道路を走る際は、80キロメートル~90キロメートルのスピードを意識して無理なく運転しましょう。
移動と宿泊に特化したキャンピングカーは、100キロメートル以上の高速走行に適した設計にはなっていません。横転やバースト、横風などの影響を考えると高速道路だけでなく一般道であってもスピードの出し過ぎには注意が必要だといえます。
余裕を持って運転していれば、横風や大型車の風圧などの影響も最小限に抑えられます。
ハンドル操作・ブレーキは余裕を持っておこなう
カーブに入る際はしっかりと減速をおこない、ゆっくりとハンドルを切り始めるよう意識しましょう。
普通乗用車と比較して、キャンピングカーは重心が高く不安定になりやすいといえます。重量もあるため遠心力に弱く、ハンドル操作やブレーキの影響を受けやすいのが大きな特徴です。
キャブコンなど車体サイズの大きいキャンピングカーはアクセルやブレーキの制動も弱いため、余裕を持って運転することが重要です。また、高速道路だけでなく一般道でも車間距離には余裕を持たせておきましょう。
交差点やカーブではハンドル操作に気を配る
キャンピングカーを運転する際に特に気をつけたいのが交差点の右左折です。大型のキャンピングカーは死角が多く、横断歩道の歩行者や自転車などの確認が難しいものです。特に市街地の交差点などは、万が一に備えて通常よりも時間をかけて曲がるようにしましょう。
また、キャブコンなどのキャンピングカーは普通乗用車とは違い運転席が前方に位置しています。慣れていないと早めにハンドルを切ってしまいがちで、車体後端が降り出す「ケツ振り」による接触事故などにも繋がります。交差点やカーブではハンドルを切るのを若干遅らせるとともに、時間をかけて曲がるようにしましょう。
高さ制限のある橋や駐車場に注意する
キャンピングカーは車幅や高さが普通乗用車より長いのが特徴です。高さはキャンピングカーのカテゴリーによって異なりますが、シェルを架装したキャブコンであれば2.6メートル以上の車高が一般的となります。ショッピングセンターの立体駐車場などはまずは入れませんし、屋外のコインパーキングでも入口の屋根に引っかかる可能性もあります。
高さ制限のある橋やキャンプ場の木の枝などに屋根が接触し、事故やトラブルに繋がる可能性も少なくはありません。運転するキャンピングカーの車高を把握するとともに、目的地までの施設やトンネルの高さ制限を確認しておきましょう。
シートベルトの着用・荷物の固定を徹底する
2008年の道路交通法改正以降、一般道であっても後部座席のシートベルト着用が義務付けられています。キャンピングカーには後ろ向きの座席も存在しますが、こちらもシートベルトの着用は必須です。レンタルなどで初めてキャンピングカーを利用すると、魅力的な内装に思わず夢中になってしまうこともあるかもしれません。
お子様が居る場合などは見過ごしてしまいがちですが、安全面を考慮してシートベルトの着用を促しましょう。その他、適切に荷物を固定しないとガタつきなどで安全運転の妨げになることがあります。シートベルトの着用と合わせて荷物の固定も徹底するのがおすすめです。
出発前の準備次第でキャンピングカーの運転が快適になる
キャンピングカーの運転は、出発前の準備次第でより快適にすることが可能です。例えば先にご紹介したキャンピングカーの高さ制限は地図アプリなどを利用して事前に確認しておくことができます。また、同乗者のサポートを受ければ事故やトラブルのリスクを減らすことができるでしょう。
レンタルでキャンピングカーを利用するビギナーは、初めての運転に戸惑うことも多いのではないでしょうか。出発前の準備をしっかりとおこなえば、キャンピングカーの魅力を余すところなく体感することにも繋がります。
慣れない道を走る際は事前にルートを確認
旅行やキャンプが目的であれば、慣れない道を走る可能性も高くなるはずです。このような場合は事前に走行ルートを確認しておきましょう。目的地はもちろん、経由地や休憩所などの情報も調べ、トンネルや施設の高さ制限を確認します。バンコンなど車高の低いキャンピングカーならそれほど気にする必要はないかもしれませんが、ルートを確認しておけば運転に余裕が生まれます。
Google Mapなどを利用して交差する線路や山間部のトンネルを見つけたら、その都度ストリートビューに切り替えて確認しておくとよいでしょう。スマートフォンアプリが苦手な方は、紙媒体の道路地図を利用して確認するのもおすすめの方法です。
誘導などのサポートは同乗者の力を借りよう
同乗者にとっては多少なりとも労力がかかりますが、万が一の事故やトラブルを考えれば力を借りるにこしたことはありません。特にビギナーの場合はうまく乗りこなせないことが当たり前だと理解し、恥ずかしがらずに同乗者の力を借りるようにしましょう。
初心者であればキャンピングカーの運転に慣れるまで時間がかかるのは当たり前です。例えば同乗者が助手席に座っていれば、交差点を曲がる際に死角を確認してもらうことができます。また、駐車や狭い道を通る際は、車外から誘導してもらうこともできるでしょう。
事前の準備や確認でキャンピングカーの運転がより楽しく快適になる
出発前に入念な準備をおこない、安全運転で最高のキャンピングカーライフを味わってみましょう。キャンピングカーを運転する際は普通乗用車とは異なる乗り物だということを理解しておく必要があります。
近年は手頃な価格でレンタル可能なキャンピングカーも多く、普通自動車免許で気軽に乗り心地を試せるのも魅力です。購入前の乗り心地の確認、家族・友人同士の旅行などキャンピングカーのレンタルにはさまざまな使い道があります。