キャンピングカーを法人所有することで生まれるメリットや活用例、注意点などを解説します。
大手求人広告サイトなどでは、自社の福利厚生としてキャンピングカーの所有をアピールする企業が増えています。
キャンピングカーの法人所有は従業員だけでなく会社にもメリットをもたらします。法人としての活動の幅を広げたい、有効な節税対策を探しているなら確認しておきましょう。
キャンピングカーを会社(法人)で所有する主要な目的
キャンピングカーは個人だけでなく、会社(法人)名義で所有することができます。一般的に、キャンピングカーといえば個人のレジャー向けのイメージが強いものです。しかし、法人が所有することで会社の活動の幅を広げられるというメリットが生まれます。
また、用途を限定することで購入時だけでなく、維持費やメンテナンス費用なども経費に計上できるのも魅力的です。キャンピングカーを法人で所有する主要な目的、活用例を確認してみましょう。
従業員の福利厚生や社員研修用に購入
自社の従業員の福利厚生や社員研修用にキャンピングカーを購入するのは最もポピュラーな活用例だといえます。例えば休日や連休中に従業員にキャンピングカーを貸し出し、自由に使える制度を導入する企業も多いようです。家族や友人との利用はもちろん、ワーケーションなどアイディア次第でさまざまな方法に活用できます。
また、社員研修として利用すれば、チームパフォーマンスを上げることにも繋がるでしょう。1台のキャンピングカーには数人しか寝泊りできませんが、環境を変えて共同作業をすることにより楽しみながら連帯感を高められます。求人広告などで福利厚生にキャンピングカーの所有を記載すれば、効率的に人材を集めることにも繋がるかもしれません。
移動事務所や会議式・応接室としても使える
バンコンやキャブコンなど、キャンピングカーの主要モデルは快適に過ごせる居住スペースが確保されています。数人が余裕を持って過ごせる車内は一定の防音性が確保されており、移動事務所や会議室・応接室としても利用できます。普段の商談に喫茶店やレンタル会議室を利用している場合は、キャンピングカーを移動事務所としても違和感は少ないはずです。
普段とは異なる環境でプライベートな話題も盛り上がり、商談の成功率も上昇するかもしれません。電源や通信環境を確保すれば社員のワーケーションスペースになりますし、平日であっても無駄なく活用できるでしょう。
災害時の避難先や非常時の指揮系統として活躍
居住・就寝スペースが確保されたキャンピングカーは、災害時の避難先としても活用することができます。例えば大手のキャンピングカーメーカーでは、従業員の福利厚生の利用だけでなく有事の際は災害対策支援者としての活用を計画しています。電源設備はもちろん、FFヒーターなどを導入すれば災害時でも一定の生活水準を保つことができます。
また、止むを得ず会社を離れて活動する場合は、非常時の指揮系統としても活躍するはずです。1台のキャンピングカーで利用できる人数は限られますが、万が一の避難先や休息所が確保されているのは安心です。自然災害が多い日本では、キャンピングカーを法人で所有するメリットが大きくなるでしょう。
価値が下がりにくいキャンピングカーは節税対策にも活用できる
一般車と比較するとキャンピングカーは資産価値が下がりにくいという特徴があります。例えば3年程度利用したキャンピングカーでも、新車購入時の7割~8割程度の売却価格となることも珍しくありません。キャンピングカーの資産価値が下がりにくいのは、需要の高まりとともに中古でも買い手が多いことなどが理由となっているようです。
また、販売価格が高いキャンピングカーは、経費に計上することで大きな節税効果を生み出します。所有する期間に関わらず、リセールバリューや資産価値が下がりにくいのは法人が所有する際の大きなメリットとなるでしょう。
購入費用はもちろんランニングコストも経費計上できる
法人名義のキャンピングカーは、購入費用はもちろんランニングコストも経費に計上することが可能です。経費の計上方法は購入方法によっても異なりますが、例えば1,000万円のキャンピングカーをローンで購入した場合、固定資産に計上した上で6年に分けて減価償却をおこないます。
- 1,000万円×償却率0.167=167万円(定額法)
ローンの利息などを除いて簡単に計算したものですが、1年で167万円の経費計上が可能です。また、キャンピングカーの購入費用と合わせて下記のような項目も経費として計上することができます。
- ガソリン代、駐車料金、有料道路の料金
- 税金、保険料、車検費用
- 洗車、修理費、備品
経費の金額は一般車と比較して高くなるため節税効果は高いといえるでしょう。
一般車よりも短期間で減価償却できるので節税効果が高い
キャンピングカーを中古で購入すると、一般車よりも短期間で減価償却できるというメリットが生まれます。
- (新車の耐用年数-経過年数)+(経過年数×0.2)
中古で購入したキャンピングカーは上記の計算式で耐用年数を求めることになります。例えば4年落ちのキャンピングカーは、(6年-4年)+(4年×0.2)=2.8年となり、耐用年数は小数点以下を切り捨てて2年となります。さらに未償却残高に対して一定の割合を減価償却費として計上する定率法を用いた場合、初年度の償却率は100%となります。実質的に購入1年での減価償却が可能となるため、節税を目的とする場合は4年落ち以上の中古キャンピングカーを購入するのもおすすめです。一般車でも同様の方法で減価償却は可能ですが、購入金額の高いキャンピングカーの方がメリットは大きくなるでしょう。
法人でキャンピングカーを購入する際の注意点
法人がキャンピングカーを購入する際は事故などのリスクに備えておくことが重要となります。特に福利厚生を目的とする場合は不特定多数が利用するため、一般車と比較して事故の危険性が高くなるはずです。キャンピングカー向けの保険はネット申し込みや代理店で取り扱っていないことも多いため、窓口へ問い合わせるなどして確認が必要となります。
また、キャンピングカーの使い方によっては経費の計上が認められない可能性があるなど、購入する前に確認しておきたいポイントもあります。節税対策も含めてキャンピングカーの導入を検討しているなら、一般車とは違う注意点があることを理解しておきましょう。
使い方によっては経費計上が認められないこともある
節税効果の高さなどメリット豊富なキャンピングカーですが、使い方によっては経費の計上が認められない可能性もあるでしょう。例えば法人名義であるにも関わらず、役員や社長などが私的に利用している場合は税務調査で問題となるかもしれません。また、ほとんど利用せず保管している場合や、会社の経営状況に合わないキャンピングカーの購入も経費の計上が認められない可能性があります。
一般車とは違い、特殊な車両であるキャンピングカーは経費計上の判断が難しいといえます。自社の経営状況も踏まえ、キャンピングカー購入前には税理士に相談しておくのがおすすめです。なおリサイクル預託金など経費にできない項目もあるので合わせて確認しておきましょう。
車体のメンテナンス費用や保険料などは一般車より高くなる
購入時はもちろん車体のメンテナンス費用や保険料などは一般車よりキャンピングカーの方が高くなります。足回りやエンジン部など基本的な点検はもちろん、車内に搭載した電気設備などメンテナンス項目は意外と多いものです。トイレやシャワーなど社内設備が多いほどメンテナンスに時間と費用をかける必要があるでしょう。また、タイヤに負荷がかかりやすいため定期的な点検・交換も必要となりますし、日常的に利用する場合はガソリン代も高くなります。
保険料なども含めて経費として計上できる項目は多いですが、どうしてもキャッシュ・アウトの比率は高くなるでしょう。ただし、「就寝設備の数」など一定の条件を満たせば8ナンバーを取得して税金の負担を抑えることができます。8ナンバーは税制面で優遇されていますし、法定費用に限っていえば年間の負担は一般車を下回ります。キャンピングカーの利用の仕方によっては、一般車とそれほど変わらないコストで運用できるのではないでしょうか。
実際に購入する前にレンタルやリースを試してみるのもおすすめ
従業員の福利厚生や社員研修、移動事務所や災害時の活用など法人がキャンピングカーを所有するメリットは多数あります。資産価値が下がりにくく、経費として計上できるため節税対策として有効なのも魅力的なポイントだといえるでしょう。
しかし、費用はもちろん、購入後のメンテナンスなどキャンピングカーを維持するためにはある程度の手間が必要となります。短期間での利用など、使い方によってはレンタルやリースの方が適している可能性もあるでしょう。法人向けのレンタルやリースを提供している会社も多いので、購入する前に利用してみてはいかがでしょう。