キャンピングカーを選ぶ際、車両の種類や装備などと合わせて確認しておきたいのがエンジン形式です。すべてのキャンピングカーに当てはまるわけではありませんが、バンコンやキャブコンなど特に人気のモデルはディーゼルとガソリン2つのエンジン形式が選べることも多いものです。ディーゼルとガソリンそれぞれのメリット・デメリットを比較し、キャンピングカーを購入する際の基準を確認しておきましょう。
キャンピングカーはディーゼル車かガソリン車を選ぶことができる
キャンピングカーのベース車両はディーゼルとガソリンの2種類からエンジン形式を選ぶことができます。日本国内のキャンピングカー市場でディーゼルとガソリンが選べるのは下記のカテゴリーです。
- フルコンバージョン(フルコン)
- セミ・フルコンバージョン(セミフルコン)
- バスコンバージョン(バスコン)
- キャブコンバージョン(キャブコン)
- バンコンバージョン(バンコン)
- トラックキャンパー(トラキャン)
ガソリン車のみとなる軽キャンピングカーやけん引式のキャンピングトレーラーなどを除いても、エンジン形式が選べるベース車両のカテゴリーは多いことがわかります。
人気の「ハイエース」や「カムロード」はディーゼル車とガソリン車をラインナップ
ディーゼルとガソリンを選べるキャンピングカーは複数ありますが、その中でも特にラインナップの幅が広いのがバンコンとキャブコンです。バンコンのベース車両として圧倒的な人気を誇るハイエースは、複数のグレードでエンジン形式を選ぶことができます。また、キャブコンのベース車両としてトップシェアを誇るトヨタのカムロードは、2WDでディーゼルとガソリン2つのエンジンが設定されています。
日産のNV200バネットや、いすゞのびぃーかむなど、バンコンとキャブコンはディーゼルとガソリン2つのエンジン形式が選べるベース車両が多いのが特徴です。バンコンとキャブコンは日本国内で人気が高いカテゴリーで、エンジン形式はもちろんビルダーごとに特色のあるカスタマイズが施されているのも魅力だといえます。
ディーゼルとガソリンは燃料や点火方式などさまざまな違いがある
その名の通り燃料にガソリンを用いるガソリンエンジンとは異なり、ディーゼルエンジンは燃料に軽油が使用されます。軽油はガソリンと比較して引火しにくい一方、熱を加えた時に自然発火(着火)しやすいという性質があります。このためガソリンエンジンのようなスパークプラグは用いず、圧縮した空気に燃料を噴射することで自然発火(着火)させる仕組みとなっています。
ガソリンエンジンと比較して圧縮比の高いディーゼルエンジンは馬力・トルクに優れており、トラックやバスなど商用車を中心に利用されてきました。また、近年は力強い走りを持ちながら厳しい環境規制に対応した「クリーンディーゼル」も登場しています。環境に配慮した現在のディーゼルエンジンは、ガソリンエンジンとは異なる魅力を持っているといえるでしょう。
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ディーゼル車とガソリン車を人気ベース車両で比較
ディーゼルエンジンとガソリンエンジンはそれぞれにメリット・デメリットが存在します。ビルダーによってはディーゼルとガソリン2つのエンジン形式を選べるキャンピングカーを販売しており、利用用途に合わせてユーザー自身が選べるのも魅力です。特にバンコンやキャブコンなど人気の高い車種はこの傾向が強いといえます。
ベース車両によって組み込まれたエンジンは異なりますが、ディーゼルとガソリンが持つ傾向に大きな違いはありません。キャンピングカーのベース車両としてシェア率の高いハイエースやカムロードを参考にして、ディーゼル車とガソリン車の違いを確認しましょう。
ベース車両の新車価格はガソリン車の方が安い
バンコンのベース車両として利用されるハイエースは複数のボディタイプが用意されており、グレードによっては搭載されるエンジンを選ぶことができます。車両価格は各販売店によって定められるため一概にはいえませんが、新車のメーカー希望小売価格ではディーゼルよりガソリン車の方が安く設定されています。
また、キャンピングカーに仕上げられた際の価格差は装備やビルダーによっても異なりますが、一般的にはベース車両と同様にガソリン車の方が安くなります。
グレード(ハイエースバン・2WD) 「引用:トヨタ公式ホームページ」 |
価格(税込) |
DX・GLパッケージ(2WD・2000ガソリン・6A/T・5ドア・乗車定員3/6名) | 260万6,600円 |
DX(2000ガソリン・6A/T・標準ルーフ・乗車定員3/6名) | 255万8,600円 |
DX(2000ガソリン・6A/T・乗車定員3名) | 239万2,100円 |
スーパーGL(2800ディーゼル・標準ボディ・標準ルーフ・乗車定員2/5名) | 375万5,500円 |
DX(2800ディーゼル・乗車定員2/5名) | 322万7,200円 |
燃料と燃費はディーゼルエンジンの方が優れている
ハイエースのディーゼルエンジンは1つのみですが、ガソリンエンジンはグレードによって2000または2700ガソリンの2種類が存在します。しかし、諸元表ではいずれのグレードでもディーゼルエンジンの方が燃費に優れています。また、ガソリンよりも軽油の方が安いため、長期的に乗る場合のコストはディーゼルエンジンの方が安く抑えられるでしょう。
車種(グレード) ※いずれもWLTCモード |
ディーゼル/燃費 (1リッターあたり) |
ガソリン/燃費 (1リッターあたり) |
スーパーGL (ロング・標準ボディ・標準ルーフ) |
12.4キロメートル (2800ディーゼル) |
9.2キロメートル (2000ガソリン) |
スーパーGL (ロング・ワイドボディ・ミドルルーフ) |
11.7キロメートル (2800ディーゼル) |
8.8キロメートル (2700ガソリン) |
DX (ロング・標準ボディ・標準ルーフ) |
12.4キロメートル (2800ディーゼル) |
9.3キロメートル (2000ガソリン) |
乗り心地ではガソリン車、パワーではディーゼル車
ディーゼル車は馬力・トルクに優れる一方、ガソリン車と比較すると音や振動が大きいという特徴があります。クリーンディーゼルの普及により改善はされているものの、アイドリング時の騒音が気になることもあるかもしれません。発進や減速・加速の多い街乗りではディーゼル車よりガソリン車に分があるといえるでしょう。しかし、馬力・トルクに優れたディーゼル車は坂道や低速時などでも安定した走行をおこなえるメリットがあります。
- カムロード(2WD・ディーゼル):馬力144ps/3400rpm、トルク30.6kgm/1200~3200rpm
- カムロード(2WD・ガソリン):馬力133ps/5600rpm、トルク18.6kgm/4000rpm
上記は2台目カムロードのベース車両の馬力・トルクですが、ディーゼルエンジンの方が少ないエンジン回転数(rpm)でも高い出力(ps・kgm)を発揮します。バンコンはもちろん、車体重量のあるキャブコンでもディーゼルエンジンなら安心して運転できるはずです。
キャンピングカーは使い方や使用期間に合わせて選ぶのがおすすめ
ディーゼル車は車両価格に比例して購入のハードルも高いといえます。しかし燃費に優れ、燃料費が安いというメリットがありコストを抑えられるはずです。一方、ガソリン車は車両価格が安く、乗り心地に優れることから普段使いとも兼用しやすいのが魅力です。
エンジン形式 | ディーゼル | ガソリン |
主要メリット |
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主要デメリット |
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「どれだけの乗り続けるのか」は1つの目安となる
キャンピングカーのエンジンを選ぶ際に1つの目安としたいのが「どれだけの乗り続けるのか」という点です。ディーゼル車は有毒ガスを浄化するAdBlue(アドブルー)の定期的な補充が必要ですし、オイル交換サイクルがガソリン車よりわずかに早いという特徴もあります。また、2023年5月1日からはクリーンディーゼル車が対象となるエコカー減税も段階的に縮小されるなど、金銭的なメリットが少なくなっているのも見逃せません。
長距離の移動が多い場合はコストを抑えることに繋がりますが、普段使いとの兼用など、用途によってはガソリン車の方が適している可能性もあります。キャンピングカーとしてどの程度乗り続けるか決めておくと、よりエンジンを選びやすくなるはずです。
試乗やレンタルを利用すればエンジンの違いを実感しやすい
キャンピングカーを製造・販売する企業はもちろん、中古車市場などでも購入前に試乗がおこなえます。近年は都市部を中心にキャンピングカーを製造するビルダーが集うイベントも開催されており、手軽に試乗ができるのも魅力となっています。キャンピングカーの知識がまったくない状態でも、試乗すればエンジンの違いを実感しやすいはずです。
また、時間をかけてエンジンの違いを確かめたい場合はレンタルを利用するのもおすすめです。一般車両と比較するとレンタル費用は高くなりますが、エンジンの違いだけでなく運転方法や実際に利用する際の注意点なども知ることができるでしょう。
ディーゼル車とガソリン車にはそれぞれメリット・デメリットがある
ディーゼル車とガソリン車はそれぞれにメリット・デメリットがあります。車体重量のあるキャンピングカーとして長期的に利用する場合は、燃費にも優れたディーゼルに分があるかもしれません。しかし、街乗りや普段使いとして利用する場合はガソリン車の方が適している可能性もあります。排気音や振動などの許容範囲は個人差もあるため、試乗やレンタルを活用して自身に合った車両を選択するのがおすすめです。