キャンピングカーに搭載される換気扇(ベンチレーター)は、キャブコンなど大型のモデルでは標準装備となっていることが多いものです。しかしキャブコンはもちろん、バンコンや軽キャンパーではオプション扱いとなることも珍しくありません。設置場所の確保や費用も必要となるため、装着を考えていない方も多いのではないでしょうか。
換気扇(ベンチレーター)はキャンピングカーに必須ではありませんが、換気や温度調節など優れたメリットがあります。キャンピングカーの換気扇の必要性をはじめ、機能と種類や注意点を確認してみましょう。
キャンピングカーの換気扇の役割は換気と温度調節
キャンピングカーの換気扇にはさまざまなタイプがありますが、一般的には天井に取り付けるルーフベンチレーターが知られています。カムロードなどをベース車両とするキャブコンではエアコンやFFヒーターと並び、標準装備となっていることも多いものです。
一方、ベンチレーターをオプション扱いとしているバンコンや軽キャンパーもあるため、装着していないという方も多いのではないでしょうか。臭いの放出や空気の入れ替え、温度調節などはエアコンの設置や窓の開放で代用できますが、ルーフベンチレーターならではのメリットもあります。
換気は調理の臭いや一酸化炭素中毒の対策に重要
ベンチレーターの主要な役割の1つがキャンピングカー内の換気です。キャブコンなど中型以上のキャンピングカーはキッチンにクッカーフードがついていることもありますが、料理によっては車内に臭いがこもることもあります。また、車内にトイレがある場合や、ペット同伴の際など臭いがこもりやすい場面は多いものです。
さらに密閉性・断熱性の高いキャンピングカーは車内に湿気がこもりやすく、日常的に使わない場合などは車内の各部に悪影響をもたらす可能性が高くなります。換気だけなら定期的に窓を開けることでも対応可能ですが、ベンチレーターなら確実かつ短時間で空気の入れ替えが可能です。
排気と吸気ができるモデルなら温度調節も可能
キャンピングカー内の温度調節も換気扇の主要な役割の1つです。ベンチレーターは排気と吸気ができるモデルが中心で、車内の空気の入れ替えをスムーズにおこなえます。特に暑い時期は車内にこもった空気を外に出す排気でエアコンが無くても比較的快適に過ごせるのが魅力です。
車内の温度調節だけならエアコンでも可能ですが、設置場所と室外機の確保や消費電力が大きいという問題もあります。ルーフベンチレーターならこの問題を解決できますし、リモートワークなどで車内の二酸化炭素濃度を下げるという意味でもメリットがあるでしょう。
キャンピングカーに取り付ける換気扇の主要モデル3種類
キャンピングカーに取り付けるベンチレーターには、主に下記の2種類があります。
- ファンタスティックベント(ファンタスティックルーフベント)
- マックスファン
ファンタスティックベント・マックスファンともに日本国内で人気の高いモデルで、故障やトラブルの際に多くのビルダーやディーラーで対応してもらえるというメリットがあります。これら2種類に加え、太陽光で充電するソーラーベントや簡易モデルも多数販売されています。主要モデルであるファンタスティックベント、マックスファンとその他のモデルの特徴を確認してみましょう。
ファンタスティックベントは排気と吸気を効率よくおこなえる
Dometic社のファンタスティックベントは、キャンピングカーのベンチレーターとして人気の高いモデルです。手動で蓋を外側に開き、換気扇を回すというシンプルな構造ながら、排気と吸気の機能があり空気の入れ替えを効率的におこなえます。雪が積もってもカバーを空ければ換気扇を使用できますし、操作も簡単で使いやすいのがメリットです。
一方、標準では換気扇にカバーがついておらず、雨天時は使用が難しいというデメリットがあります。専用のカバーをつけることで対策できますが、蓋の開閉を考慮してあるため車高が高くなってしまうのがデメリットです。グレードによっては自動で蓋が閉まるタイプもありますが、基本的には手動式で風量は3段階です。
風量 | 3段階(低・中・高) |
機能 | OUT(排気)・IN(吸気) |
開閉 | 手動式 |
マックスファンなら走行中や雨の日でも換気ができる
ファンタスティックベントとは異なり、MAXXAIR社のマックスファンは換気扇とカバーを一緒に押し上げる構造となっています。蓋の裏側に換気扇があるため、走行中はもちろん雨天時などでも換気ができるのが特徴です。また、ファンタスティックベントと同じように天井に取り付けるため、後からマックスファンにアップグレードするのも容易です。
さらにファンタスティックベントの風量調節が3段階となっているのに対して、マックスファンは10段階調節が可能です。手動タイプの他にリモコンタイプも用意されており、用途に合わせて選べるのも魅力となっています。排気と吸気能力も高く、車内の空気を循環するシーリングファンモードがあるなど機能も充実しています。
風量 | 10段階 |
機能 | OUT(排気)・IN(吸気)、シーリングファンモード、サーモスタット |
開閉 | 手動式、リモコン式の2種類 |
太陽光で充電するソーラーベントもあり簡易モデルで代用も可能
キャンピングカー向けの換気扇としては、太陽光で充電するソーラーベントも存在します。例えばVANTECH株式会社のキャブコン「CORDE Bunks(コルドバンクス)」はマックスファンとは別にソーラーベンチレーターを装備しており、日中は自動的に車内の換気をおこないます。また、ビルダーの販売モデルの中には小型のベンチレーターを備えるバンコンも存在します。
オプションとしてソーラーベントがあるバンコンや軽キャンパーは少ないかもしれませんが、丸型のUFOベンチレーターや、通常の換気扇のようなモデルで代用することも可能でしょう。例えば車内の窓に換気扇を取り付けることで、ベンチレーターの代わりとすることもできます。設置場所や費用の問題があるなら、小型のベンチレーターも検討してみるとよいでしょう。
換気扇を使う際は天候や気候に注意する必要がある
ファンタスティックベントやマックスファンなどのルーフベンチレーターは一般的な換気扇とは異なる注意点があります。天井に取り付けるため若干車高が高くなりますし、天候や気候はもちろん、走行時の破損などにも気を配る必要があるでしょう。
車内に設置されているため常に振動を受けていますし、長く使用するためには定期的な点検は欠かせません。また、取り付け時はもちろん、定期的なメンテナンスにかかる費用もあらかじめ考慮しておく必要があります。
雨天や風が強い日は雨漏りや換気扇の破損に注意
ファンタスティックベントはカバーを取り付けることで雨天時でも使用が可能です。また、マックスファンは換気扇とカバーが一体となっているため、原則が目の日でも使用できるようになっています。ただし、天候によっては雨漏りが発生する可能性もありますし、いずれも強風時の使用は推奨されていません。マックスファンは走行時にも使用できますが、強風時は走行中に換気扇が破損する可能性があります。
この他、ルーフベンチレーターは車内に日差しが入るため、就寝場所によっては眩しく感じることがあります。日差しが入りにくい専用カバーや遮光シェードもあるため、ルーフベンチレーターの設置場所と合わせて検討しておきましょう。
取り付け時に費用がかかり定期的なメンテナンスも必要
ビルダーによってはルーフベンチレーターがオプションとして用意されていることもあります。メーカーやモデルにもよりますが、ルーフベンチレーター自体は5万円~8万円ほどと決して安い価格ではありませんし、穴あけ加工など取り付け時の費用も必要となります。後付けすると費用が高くなる可能性もあるため、購入前によく確認しておく必要があるでしょう。
また、コーキング部分の水漏れや開閉アームの破損など、使用期間が長くなるにつれ消耗品を起因としたトラブルが発生します。パーツの交換や虫よけスクリーンの拭き掃除など、換気扇の機能を最大限発揮するためには定期的なメンテナンスをおこなう必要があるでしょう。
車内での料理や夏場の利用が多いなら換気扇の取り付けもおすすめ
密閉性・断熱性に優れたキャンピングカーでは、臭いの充満や一酸化炭素中毒の予防のため空気の入れ替えが重要です。温度調節や空気野入れ替えならエアコンや窓の開放でも代用できますが、臭いのこもりやすい場合などベンチレーターの方が適しているシチュエーションも多くあります。
取り付けやメンテナンスには費用がかかるため、キャンピングカー購入前にビルダーに相談しておくとよいでしょう。既に完成されたディーラーの販売者であればベンチレーターがついているモデルもあるため、合わせて検討してみるのがおすすめです。