家族向けのイメージの強いキャンピングカーですが、近年は二人旅にスポットを当てたモデルも人気を集めています。現役世代はもちろん、定年退職後に夫婦で二人旅を楽しみたいという夢を持つ方もいらっしゃるのではないでしょうか。本記事では夫婦や親子、友人など二人で使うのに適したキャンピングカーをベース車両にスポットを当てご紹介しています。
キャンピングカーは種類が多く、ビルダーごとに仕上げが異なっているためお気に入りの1台を見つけるのが難しいものです。将来的にキャンピングカーの購入を考えているなら、是非ご確認ください。
夫婦など二人で使うのに適したキャンピングカーの特徴
利用人数や価格帯を考慮した場合、二人で利用するのに適したキャンピングカーは5種類です。バンコンやキャブコンはキャンピングカーの種類の中では中間クラスに位置付けられます。長距離旅行やキャンプはもちろん、普段使いでも余裕を持って使えるのはバンコンやキャブコンの魅力でしょう。
一方、軽キャンパーは利用人数やスペースに制限が出てしまいますが、購入費用や維持費が安いというメリットもあります。独自の特徴を受け入れられるのであれば、トラキャンやトレーラーも選択肢に入れることができるでしょう。
種類 | 乗車定員 | 就寝人数 | 参考価格帯 |
充電速度 | 5人~8人 | 3人~6人 | 200万円~700万円 |
キャブコン(キャブコンバージョン) | 4人~8人 | 5人~7人 | 400万円~1,000万円以上 |
軽キャンパー(軽キャンピングカー) | 2人~4人 | 1人~2人 | 100万円~400万円 |
トラキャン(トラックキャンパー) | 2人~5人 | 2人~5人 | 200万円~1,000万円以上 ※ベース車両+シェル |
トレーラー(キャンピングトレーラー) | – ※ベース車両による |
2人~5人 | 100万円~1,000万円以上 |
二人で利用するならバンコンかキャブコンが特におすすめ
二人で利用するキャンピングカーとして特におすすめなのがバンコンまたはキャブコンです。日本国内で最も人気の高いバンコンはバンやワゴンなどの商用車をベースとしているため車内空間が広く、キャンプや車中泊も余裕を持っておこなえます。同じベース車両でもビルダーによって仕上がりは異なるため、お気に入りの1台を見つけられるはずです。
一方のキャブコンはバンコンと比較すると車体サイズは大きくなりますが、バンコンを上回る車内スペースや車中泊専用の装備も充実しています。また、比較的ベース車両の種類も多く、取り回しに優れたコンパクトモデルも存在します。
バンコンはベース車両が多く好みの車種を見つけやすい
バンコンはベース車両が多く、取り扱っているビルダー・ディーラーも多いことから好みのモデルを見つけやすいのがメリットです。
- ハイエース(標準ボディ・標準ルーフ・2WD):全長4,695ミリメートル×全幅1,695ミリメートル×全高1,980ミリメートル、最小回転半径5,0メートル
- NV200 バネット(DX・2WD):全長4,400ミリメートル×全幅1,695ミリメートル×全高1,855ミリメートル、最小回転半径5,2メートル
例えばバンコンのベース車両として特に人気の高いハイエースとNV200 バネットを比較しても、車体サイズはもちろん車内の広さにも違いがあることがわかります。ハイエースベースでも駐車場に困ることはありませんし、普通乗用車と同じような感覚でキャンピングカー初心者でも安心して運転できます。また、見た目だけならキャンピングカーと分かりにくいため普段使いもしやすいでしょう。
キャブコンでも運転しやすいコンパクトモデルがある
専用のシェルを架装し、キャンピングカーらしい見た目のキャブコンはバンコンより大型なのが特徴です。しかし、キャブコンの中にはタウンエーストラックやボンゴトラックを用いたコンパクトモデルも存在します。
A社・ボンゴトラックベース:全長4,660ミリメートル×全幅1,880ミリメートル×全高2,700ミリメートル(ファン込み)
車高はバンコンより高くなりますが、全長5,000ミリメートル前後、全高3,000ミリメートル近いカムロードベースのキャンピングカーと比較すると一回りほどコンパクトとなっています。コンパクトモデルであっても専用シェルを架装するため断熱性に優れており、キャンプ向けの装備が充実したモデルが多いのも魅力です。「動く家」と形容されるような快適な旅も可能ですが、車体サイズはどうしても大きくなるため駐車スペースや運転には気を配る必要があります。
軽キャンパーやトラキャン・トレーラーも選択肢に入る
バンコンやキャブコンと比較すると、軽キャンパーやトラキャン・トレーラーは乗車定員も少なく車内スペースは限られてきます。モデルや装備にもよりますが、長距離・長期間の旅行や本格的なキャンプ用途には適していないかもしれません。ただし、軽キャンパーは価格が安く車体サイズが小さいため、キャンピングカー初心者でも運転しやすいメリットがあります。
また、トラキャンやトレーラーにもリーズナブルなモデルは多く、ベース車両によっては軽キャンパーと変わらない維持費で運用が可能です。装備が少なくても問題ない週末だけのコンパクトな旅行が中心なら、軽キャンパーやトラキャン・トレーラーを選択するのもおすすめだといえます。
軽キャンパーは維持費が安く普段使いしやすい
軽自動車をベースとしている軽キャンパーは、維持費が安く普段使いしやすいキャンピングカーだといえます。軽キャンパーは軽貨物の4ナンバー、軽自動車の5ナンバー、小型特殊自動車の8ナンバーの3種類が主流です。多少差異はありますが、いずれも軽自動車税・自賠責保険料・自動車重量税の合計はバンコンやキャブコンより抑えられます。
任意保険や燃料、消耗品の費用を含めてもリーズナブルに運用していけるのではないでしょうか。また、車両価格も100万円台~400万円程度と安く、ポップアップルーフなど遊び心を加えたモデルも多くあります。普段使いが中心で、趣味や遊び、小旅行を目的するなら十分満足できるはずです。
ナンバー・車種 | 4ナンバー (軽貨物) |
5ナンバー (軽自動車) |
黄色8ナンバー (小型特殊自動車) |
軽自動車税 | 5,000円 | 1万800円 | 5,000円 |
自賠責保険料(24か月) | 2万340円 | 1万7,540円 | 1万1,290円 |
自動車重量税(2年) | 6,600円(標準額) |
トラキャンやトレーラーは独特の魅力がある
トラキャンはピックアップトラックなどの荷台にキャンピングシェルを載せるキャンピングカーです。海外製の大型ピックアップトラックではベース車両だけでも高額ですが、軽トラックベースなら価格を抑えられるのが魅力です。50万円~100万円台と低価格のシェルも販売されており、軽キャンパーと変わらない価格で購入することもできます。
車両区分は積載車両そのままとなるため維持費も抑えられますし、シェルの取り外しで普段使いができるのもメリットです。また、キャンピングトレーラーは十分な室内空間を持ち、けん引免許不要のモデルも多くあります。シェルやトレーラーは走行中に乗車できないというデメリットはありますが、他のキャンピングカーではない独特の魅力を味わえるでしょう。
車内スペース・設備や購入後の維持費も確認するのがおすすめ
キャンピングカーは同じベース車両であってもビルダーによって車内スペースや設備などに違いがあります。利用人数や価格帯のみで車両を選ぶと、購入後にミスマッチが起こる可能性が高くなるでしょう。キャンピングカー本体のサイズやデザイン、車内空間など基本的な情報はもちろん、旅行の日数や利用シーンなども含めて選ぶ必要があります。
また、キャンピングカーは定期的なメンテナンスも必要となりますし、消耗品の交換費用が高額となることもあります。普通乗用車とは異なる使い方をするため、事前に購入後の維持費について確認しておくことも重要です。
同じベース車両でも車内の広さや設備は異なる
同じベース車両でも車内の広さや設備はビルダーによって異なるため事前の確認が必要です。バンコン・キャブコンは、二人なら利用はもちろん就寝まで余裕を持っておこなえますがレイアウトはビルダーごとに異なっています。また、軽キャンパーなど小型のモデルは基本的に車内スペースが制限されるため、より入念に確認しておくのがおすすめです。
さらにバンコンや軽キャンパーはキッチンがないモデルもありますし、キャブコンであってもベンチレーターやエアコン、FFヒーターなどがオプションとなっていることもあります。特に長期旅行が目的で、車両で過ごす時間が長い場合は車内スペースやレイアウトとともに設備・オプションの確認もしておきましょう。
購入後の維持費や8ナンバー登録も要チェック
キャンピングカーは装備のメンテナンス費用も必要ですし、重量があるためどうしても燃費が悪くなりがちです。費用は普通乗用車より高くなりやすいので、事前にシミュレーションしておくとよいでしょう。なおキャンピングカーの維持費を減らす方法の1つとして8ナンバー登録があります。炊事設備前の室内高や、就寝設備の最低数などの条件を満たしたキャブコンは8ナンバー登録が一般的です。
一方、バンコンは普通乗用車として登録してある車両も多く、軽キャンパーに至っては8ナンバーのモデルは珍しい部類となります。バンコンは8ナンバー登録をすることで税金が安くなるというメリットが生まれます。軽キャンパーは逆に税金が高くなってしまいますが、軽自動車の規格以上のシェルを架装できることから快適な車内スペースが確保されています。いずれもメリット・デメリットがありますので、購入後の維持費も含めてビルダーやディーラーに相談しておくとよいでしょう。
多種多様なキャンピングカーの中から理想の二人旅に適した1台を見つけよう
キャンピングカーはベース車両が同じでもデザインや装備はビルダーによって多種多様です。バンコンやキャブコンなど大まかなカテゴリー分けはありますが、それだけではお気に入りの1台を見つけるのは難しいはずです。
利用人数や価格帯など基本的な条件をはじめ、キャンピングカーの使い方を事前にシミュレーションしておきましょう。ビルダーやディーラーと相談しながら時間をかけてキャンピングカーをチェックすれば、理想の二人旅に適した1台が見つかるのではないでしょうか。