キャンピングカーは車中泊スポットまでの移動も楽しみの1つです。TVや冷蔵庫、トイレなどを備えるキャンピングカーでは長距離の移動も快適に過ごせるでしょう。ただし、キャンピングカーの運転中はシートベルトの着用に注意しなくてはなりません。
特に後部座席に広々としたスペースを持つキャブコンやバンコンなどはシートベルトについて理解を深めておく必要があります。キャンピングカーのシートベルト着用や注意するポイント、危険性や対策を確認しておきましょう。
キャンピングカーは走行中シートベルトの着用が必須
普通乗用車と同じく、キャンピングカーも車両である以上は走行中のシートベルトの着用が必須となっています。これは道路交通法の第71条の3で定められおり、違反した場合は減点等の罰則が科せられることになります。
- 自動車の運転者は当該自動車に備えなければならないこととされている座席ベルトを装着しないで自動車を運転してはならない。(道路交通法第71条3一部抜粋)
また、運転席・助手席だけでなく後部座席でも走行中のシートベルトの着用は義務となっているため注意が必要です。
運転席・助手席だけでなく後部座席もシートベルトは義務
2008年の道路交通法改正により、運転席・助手席だけでなく後部座席もシートベルト着用が義務付けられています。
- 自動車の運転者は、座席ベルトを装着しない者を運転者席以外の乗車装置に乗車させて自動車を運転してはならない。(道路交通法第71条3第2項一部抜粋)
疾病を持っている方など一部例外はありますが、基本的に一般道路・高速道路問わずすべての座席でシートベルトの着用が必要ということになります。スペースが広く就寝設備も備えるキャンピングカーでは後部座席のシートベルト着用を疎かにしてしまいがちですが、あらためて確認しておきましょう。
シートベルト未着用は減点や口頭注意などの罰則がある
運転席・助手席のシートベルト未着用が見つかった場合は減点1点となります。これは一般道路・高速道路で違いはありません。一方、後部座席の未着用は一般道路では口頭注意、高速道路では減点1点となっています。
- 運転席・助手席:一般道路・高速道路いずれも減点1点
- 後部座席:一般道路は口頭注意、高速道路は減点1点
いずれも反則金や罰金はなく、特に一般道路では口頭注意のみとなる後部座席については軽く考えてしまうかもしれません。しかし一般道路での運転席・助手席のシートベルト未着用や高速道路でのシートベルト未着用では減点によりゴールド免許が取り消されてしまいます。安全のためにも乗車している全員のシートベルト着用を確認しておきましょう。
後部座席のシートベルト着用で注意したいポイント
既にご紹介した通り、走行中であれば後部座席のシートベルト着用は必須となります。キャンピングカーによってはシートベルトを着用した状態でもTVや冷蔵庫を利用できるためそれほど不便は感じないかもしれません。一方、長距離の移動や子供がいる場合など、ついシートベルトを疎かにしてしまうシチュエーションもあるといえます。
後部座席に就寝スペースなどを備えるキャンピングカーは、運転中の利用についてあらかじめ同乗者と話し合っておく必要があります。横向き座席やシートベルトのない車両も含めて、後部座席の注意ポイントを確認しておきましょう。
キャンピングカー走行中のベッドやトイレの使用はNG
キャンピングカーの中には後部座席のシートを倒してフルフラットにできるモデルも多く存在します。また、シートベルトを着用した状態でもシートを大きく倒して就寝することも可能です。ただし、このような状態ではシートベルトが正しく機能していないと判断され、法律違反となってしまう可能性があります。道路交通法上では座席の角度などについて細かく指定はされていないものの、安全性を考慮してリクライニングを少し倒しての仮眠程度にしておくのがよいでしょう。
なおトイレはもちろん、キッチンでの料理などもシートベルト未着用であればキャンピングカー走行中は基本的にNGとなります。シートベルトを着用したままであれば料理や洗い物は可能ですが、危険をともなうため走行中は避けた方がよいでしょう。
横向き座席でもシートベルトの着用が義務となっている
キャンピングカーの中には後部座席に横向き座席を設置したモデルもあります。このようなキャンピングカーであっても後部座席でのシートベルト着用は義務となっていますが、生産された年月やナンバーの種類によってシートベルトが設置されていない車両も存在します。
例えば2012年7月以前に生産されたキャンピングカーは道路運送車両法改正の影響を受けておらず、横向き座席にシートベルトが設置されていないモデルも多くあります。また、2017年7月26日からは横向き座席のキャンピングカーの生産・登録が禁止されましたが、法律の適用外となる8ナンバーなど生産された年月やナンバーの種類によって例外もあります。横向き座席のキャンピングカーでは、安全性を考慮してシートベルトを後付けするなどの対策が必要だといえます。
シートベルトのない古いキャンピングカーは着用義務が異なる
日本で生産された車両は1969年の4月1日から運転席のシートベルトの設置が義務付けられています。また、助手席・後部座席に関しても道路運送車両の保安基準により順次シートベルトの設置が義務付けられました。
- 運転席:1969年の4月1日以降
- 助手席:1973年12月1日以降
- 後部座席:1975年4月1日以降
一方で、1969年3月31日以前に製造された国産車や輸入車、先にご紹介した横向き座席などシートベルトが設置されていない車両も存在します。元からシートベルトが設置されていない車両では着用義務が免除されるため、走行中に未着用であっても法令違反とはなりません。しかし、事故の際のリスクが高くなることは留意しておく必要があるでしょう。
シートベルト未着用の危険性・対策を確認しておこう
2022年に警察庁・JAFが合同でおこなったシートベルト着用状況全国調査では、運転席・助手席と比較して後部座席のシートベルト着用率が低調となっていました。
キャンピングカーでは一般道路・高速道路問わず後部座席のシートベルトを疎かにしてしまいがちですが、未着用ではケガやトラブルのリスクが高くなるのは間違いありません。
一般道路 | 高速道路等 | |
運転席 | 99.1% | 99.6% |
助手席 | 96.9% | 98.7% |
後部座席 | 42.9% | 78.0% |
シートベルト未着用はケガやトラブルのリスクが高まる
シートベルト未着用で交通事故に遭った場合、致死率は着用時と比較して数倍に跳ね上がります。衝突の勢いによる車外放出、車内部位の衝突による全身強打などのケガはもちろん、後部座席の場合は前席の人が被害を受ける可能性もあります。
また、装備が多くなりがちなキャンピングカーでは、事故に至らない程度の急ブレーキであってもケガやトラブルのリスクが高くなります。重量があり普通乗用車とは異なる操作感のキャンピングカーは、初心者以外でも慎重な運転が必要となるでしょう。なおシートベルト未着用の場合は被害者側の過失とされる可能性があるなど、事故後の賠償にも影響が出てしまうため注意が必要です。
後付けも可能なのでビルダーやディーラーへの相談も検討
シートベルトがついていないキャンピングカーは後付けをすることも可能です。シートによっては設置できないこともありますが、横向き座席やダイネットなどでもシートベルトが後付けできる可能性があります。強固にする場合はボディの穴あけや加工など専門的な作業も必要となるため、キャンピングカーを取り扱うビルダーやディーラーに一度相談してみるのがおすすめです。
なお6歳未満の乳幼児を乗車させる場合はチャイルドシートが必要です。キャンピングカーの場合は基本的に2点式または3点式のシートベルトで取り付けることになります。キャンピングカーによってはチャイルドシートをワンタッチで取り付けるISOFIXに対応していることもあるため、ビルダーやディーラーに確認しておくとよいでしょう。
シートベルトの着用はキャンピングカーを楽しむためにも重要
運転席・助手席はもちろん、後部座席であってもキャンピングカー走行中のシートベルトの着用が義務付けられています。キャブコンやバンコンなど、大型のキャンピングカーは自宅のように快適に過ごせるのも大きな魅力です。後部座席は罰則も比較的軽くなっているため、シートベルト着用を疎かにしてしまうこともあるでしょう。
しかし、安全を第一とするならシートベルトの着用は必須だといえます。目的地までの移動も含め、キャンピングカーを最大限楽しむためには不要なトラブルは避けるべきではないでしょうか。キャンピングカーによってはシートベルトの後付け、チャイルドシートの取り付けなども実施して安全性を高めるのがおすすめです。