エアコンなどの家電を備え、車内スペースの広いキャンピングカーはペット連れでも安心して旅行ができます。キャンピングカーでのペット連れは犬が一般的ですが、猫と旅行を楽しみたい方も多いのではないでしょうか。
犬と比較して、猫はキャンピングカーなどの車に不向きな動物です。しかし、準備や注意点を確認しておくことで猫とキャンピングカー旅行を楽しむことができます。猫とキャンピングカーで旅をするために必要な準備やアイテム、注意点を確認してみましょう。
猫は基本的にキャンピングカーなどの車に不向きな動物
結論からいえば、猫は基本的にキャンピングカーなどの車に不向きな動物です。猫と同じく飼育数の多いペットである犬と比較して、猫は警戒心が強くナワバリを持つ習性があります。猫の性格にもよるので一概にはいえませんが、「犬は人につき、猫は家につく」という言葉もある通り慣れ親しんだ場所を離れることにストレスを感じやすいのです。
- ストレスに弱く、臆病な性格の猫
- リードやキャリーバッグが苦手な猫
- 老齢やケガをしている猫
また、上記のような猫の場合はキャンピングカーに乗せることが特に難しいといえます。無理に車に乗せて旅行に連れていけば、過度なストレスを与えてしまうだけでなくパニックを起こして脱走する危険性もあるでしょう。とはいえ、猫をキャンピングカーに乗せることが不可能というわけではありません。準備やトレーニング、対策をおこなうことで猫との旅行を楽しむこともできるはずです。
猫とキャンピングカー旅をするための準備3ステップ
猫をキャンピングカーに慣れさせるには子猫のうちからトレーニングをするのが基本です。しかし、時間をかけて取り組めば成猫となってからでもキャンピングカーに慣れさせることができるかもしれません。
車に乗せるトレーニングは、猫とのキャンピングカー旅を楽しむだけでなく非常時や災害時にも役立ちます。無理強いしないよう注意しつつ、3つのステップで猫とのキャンピングカー旅の準備を進めてみましょう。
ケージやキャリーケース、リードを日頃から使用する
猫にとってストレスとなりやすいケージやキャリーケースは壁際など室内の落ちつける場所に設置し、日頃から以下のようなトレーニングをおこないましょう。
- おやつなどでケージの入り口付近へ誘導、さらにケージの中から奥へ誘導
- ケージの中でおやつなどを食べさせる(なるべく褒める)
- おやつなどで誘導しながらケージの外に出す、また中に誘導して食べさせる
- 扉を開けたままケージの中でおやつやフードを食べさせる
- 1~4を繰り返し、慣れてきたら食事中に扉を閉める
- 食事が終わる前に扉を開け、閉じ込められたと思われないようにする(扉を閉める時間を少しずつ長くする)
リードを嫌がる猫も少なくありませんが、こちらも毎日5分~10分程度装着して慣れさせましょう。
キャンピングカーを猫仕様にして安心させる
猫は温度や匂いの変化に敏感なので、日よけ用のカーシェードを利用して直射日光を遮り、芳香剤を置いている場合はあらかじめ外しておきます。走行中はエアコンをつけ、普段猫が過ごしている環境と近くなるように調整することも重要です。
また、普段から利用している毛布やタオルをキャリーケースや車内に置くことで、環境の変化によるストレスを軽減できるはずです。猫が入り込みそうな隙間をあらかじめ塞ぎ、電源コード類を保護するなど安全面を考慮してキャンピングカーを猫仕様にしていきましょう。
キャンピングカーに猫を乗せて慣れさせる
キャリーケースやリードにストレスを感じなくなったら、キャンピングカーに猫を乗せて慣れさせていきましょう。
- 定期的に猫をキャンピングカーに乗せる
- 慣れてきたらエンジンをかけて様子を見る
- 短時間の走行から徐々に距離を延ばす
いきなりキャンピングカーに乗せて走行すると猫がストレスを感じやすいため、まずは車内に乗車することから始めます。さらに問題がなければ短時間の走行をおこない、徐々にキャンピングカーで過ごす時間を長くします。走行中の猫の体調や安全確認のため、トレーニング中は可能であれば同乗者がいるとよいでしょう。
猫とキャンピングカー旅をするための必須アイテムを確認
猫とのキャンピングカー旅では安全のためのキャリーケースやリード(ハーネス)と普段使っているフードボウルやトイレ、餌や水が必要となります。いずれも最低限必要なアイテムとなりますが、猫の体調にも関わるため慎重に選ぶ必要があるでしょう。
キャリーケースやリード(ハーネス)は猫の安全のために必須
キャリーケースやリードは猫の安全を守るために必須のアイテムです。キャリーケースは通気性や耐久性に優れ、ジャストサイズから少し狭いくらいの方が猫も落ち着けます。また、脱走防止の観点から特にリード選びには気を配る必要があります。
首輪に装着するリードは猫が本気になれば外れてしまう可能性があるため、胴体に装着するハーネスの方がおすすめです。前足を通すタイプで、緩すぎず締まりすぎない猫の負担を考慮したハーネスを選びましょう。
フードボウルやトイレは使い慣れたもので
フードボウルやトイレは使い分けをせず、可能な限り普段使っているものを持ち込むようにしましょう。環境の変化を感じやすい猫はフードボウルやトイレが変わっただけでもストレスを感じ、餌を食べない・トイレを我慢するなどで体調不良に繋がります。
家から持ち込むのが難しい場合は、普段使っているフードボウルやトイレを同じタイプを車内に設置しておくのもよいでしょう。トレーニングの段階から慣れさせておけば、猫も不安を感じにくいはずです。
餌や水、療法食や薬は多めに用意しておく
餌や水は旅行の日数よりも多めに持っていくのがおすすめです。餌は普段食べているもので問題ありませんが、過度なストレスから猫の食欲がなくなることも考えられます。乾燥タイプのペットフードと合わせて、ウェットフードやおやつも持参しておくとよいでしょう。
また、療養食や薬が必要な場合は事前にかかりつけ医に相談して多めに処方してもらいましょう。緊張で水が飲めなくなる猫もいるため、水を飲ませるためのシリンジを用意しておくのもおすすめです。なお、猫の酔い止め薬もありますが、体調によってはキャンピングカーに乗せないという判断も必要になります。
猫とのキャンピングカー旅では体調不良や脱走に気をつけよう
猫とのキャンピングカー旅で特に注意したいのは体調不調や脱走です。穏やかな性格で、トレーニングの飲み込みが早い猫でも実際に旅行に行くとストレスから体調不調を起こすこともあります。
特に脱走は二度と飼い猫と会えなくなる可能性もあるので注意が必要です。準備が万全でも安心せず、万が一に備えた対策も確認しておきましょう。
旅行前の猫の体調はもちろん車酔いにも注意
家での体調が問題なくても、いざ旅行に出かけると車酔いになってしまう猫もいます。キャンピングカーの加速や振動、匂いの変化や満腹・空腹状態など猫の車酔いの原因は多くあります。車酔いの症状は主に悪心や嘔吐ですが、猫によっては極端に体調が悪くなることもあるでしょう。
猫の体調によっては、旅行自体をキャンセルする柔軟な対応も必要となります。旅先で体調が悪くなりすぐに帰宅できない場合に備えて、移動ルートや目的地周辺の動物病院もチェックしておきましょう。
脱走を防ぐため常にリードを装着することが重要
猫とのキャンピングカー旅行中は、常に脱走の危険性を考えておく必要があります。キャンピングカーでの旅行は、猫にとっては少なからずストレスとなります。普段はおとなしい猫であっても、ドアの開け閉めや車外の音に驚いてパニックになってしまう可能性もあるでしょう。
停車中でキャリーケースから出している場合でも必ずリードを装着し、普段使うおもちゃやおやつを与えてストレスを減らせるようにしましょう。なお迷子札やマイクロチップを利用することで、万が一の脱走した後に見つけられる可能性が高まります。
走行ルートや休憩場所、ケージの置き場所も確認
猫をキャンピングカーに乗せる前に、目的地までの走行ルートや休憩場所を決めておきましょう。安全かつ最短で移動できる走行ルートを決め、1時間~2時間程度で適度に休憩をとることで猫のストレスを軽減できるはずです。
休憩の際は車内の空気の入れ替えをおこない、猫の様子に変化がないか慎重に観察します。また、キャンピングカー内のケージやキャリーケースは空調が効きやすく飼い主が確認しやすい場所とするのがおすすめです。
猫とのキャンピングカー旅では人が少なく静かな場所がおすすめ
猫とのキャンピングカー旅では以下のような人が少なく静かな場所がおすすめです。
- 川岸や湖畔、山中など自然が多く穏やかな場所
- なるべく人が少ない場所
大きな音や混雑した場所は猫にとって大きなストレスとなります。川岸や山中などで、なるべく人の少ない時期を選んで出かけてみるとよいでしょう。近場に同じような場所があれば、ハーネスを装着して短時間の散歩をするのも外出の練習になります。ケージの持ち運びが多い場合は、野外で移動するのに適した猫用リュックを利用するのもよいでしょう。
準備をすれば猫とのキャンピングカー旅を楽しむことも可能
警戒心が強く、ナワバリを意識の強い猫は犬と比較して外出に向いているとはいえません。過度なストレスからの体調不良や、旅先の脱走のリスクもあるため無理にキャンピングカーなどの車に乗せることは避けるべきでしょう。
しかし、ケージやリード、車に慣れさせるトレーニングを根気よくおこなえば、猫とキャンピングカーを楽しむことも可能です。愛猫の性格を把握し、反応を見ながらキャンピングカーを楽しむ準備をしてみましょう。