発電機はキャンピングカーの電力を確保するための手段として有用です。サブバッテリーや外部電源を利用して家電を動かせるキャンピングカーでは、発電機の必要性を感じにくいかもしれません。
しかし、単体で効率よく電力を確保できる発電機は、サブバッテリーや外部電源など他の電源の欠点を補うことが可能です。キャンピングカーに発電機を載せるメリットや種類、選び方などを確認しておきましょう。
キャンピングカーに発電機を載せる2つの主要メリット
発電機は単体で電力を確保できる装置であり、キャンピングカーの照明や家電などの電源として利用できます。アウトドアはもちろん家庭でのDIYや業務用、災害時の備えなど発電機の使用シーンは多いものです。
サブバッテリーを搭載した中型以上のキャンピングカーでは発電機の必要性を感じにくいかもしれません。しかし、電力確保に特化した発電機をキャンピングカーに載せることで、サブバッテリーなど他の電源だけではえられないメリットが生まれます。
外部電源やソーラーパネルが使えない場面で活用できる
単体で稼働する発電機は環境に左右されにくく、いつでも電力を確保できるのがメリットです。一般社団法人日本RV協会が公認するRVパークをはじめ、キャンプ場によっては外部電源が使用できます。外部電源があればサブバッテリーの充電も可能ですし、エアコンや電子レンジなど消費電力の大きい家電も使用できるでしょう。
しかし、電力を外部電源頼りにすると目的地が制限されますし、コンセントの数や使用電力に限りがあるのもデメリットです。場所によらず電力を確保する方法としてはキャンピングカーのルーフに設置するソーラーパネルもありますが、こちらは天候によって発電量に差があります。キャンピングカーに発電機を載せると、外部電源とソーラーパネルの欠点を補うことができるでしょう。
車のエンジンよりも小排気量で効率的に電力を確保可能
小型のエンジンを搭載した発電機は、車のエンジンよりも排気量が少なく効率的に電力を確保できます。キャンピングカーに載せるサブバッテリーは出発前や走行中のエンジンの発電で充電をおこないます。エンジンをかけておけば停車中でも充電は行えますが、家電に使用する電力を補うためとなると効率がよいとはいえません。
発電機の稼働には主にガソリンが用いられますが、排気量が少ないことから燃料の節約になるでしょう。また、発電機を使用すればキャンピングカーのエンジンの負担の軽減や、バッテリーの寿命を延ばすことにも繋がります。連泊や目的地までの移動距離が短いなど、サブバッテリーの充電が十分ではない状況にすぐ対処できるのも発電機のメリットです。
キャンピングカーの発電機は主に2種類│メリット・デメリットを確認
キャンピングカーで利用する発電機は大きく持ち運びが可能な「ポータブルタイプ」と車体に常設する「車載タイプ」の2種類に分けられます。この2種類はサイズや発電量などに違いがあり、それぞれにメリットとデメリットがあります。
車載タイプは大型かつ購入前のオプションが基本となるため搭載できる車種は限られてきます。一方、ポータブルタイプは持ち運びが可能で、キャンピングカー購入後でも導入しやすいのが魅力です。
ポータブルタイプは安価かつ小型だが車外での使用が必須
ポータブルタイプの発電機はその名の通り持ち運びができるのが大きな特徴です。車載タイプと比較すると安価なモデルが多く、置き場所に困らないため車種を問わず利用しやすいでしょう。例えば車内スペースの狭い軽キャンピングカーで利用するのにも適しています。普段使用しない時はキャンピングカーから降ろしておくなど用途に合わせて使い分けも可能です。
一方、発電機本体から排気ガスが出るため必ず車外で使用する必要があります。悪天候などで発電機が使いにくい場合もあるでしょう。また、数時間程度なら問題なく稼働しますが、連泊などで長時間使用する場合は燃料の補充も必要です。使用時間や発電量によっては、携行缶などで燃料を持っていく必要があります。
車載タイプは固定式で大型だが天候に関わらず使用できる
車載タイプは国内では採用例が多くありませんが、アメリカ製の輸入車では標準装備となっているのが一般的です。発電機の出力は最低でも2800W、輸入車では4000W~6000Wの仕様も多くあります。排気は外に出るように設計されているため、天候に関わらず電力を確保できます。また、出力が大きく複数の家電を同時に利用できますし、長時間の使用でも頻繁に燃料を補充する必要もありません。
一方、車載タイプは出力に比例して稼働音も大きく、利用できる場所は限られます。騒音を抑える防音ボックスもありますが、発電機の使用が禁止されている場所も多いため注意が必要です。RVパークやキャンプ場など発電機の使用が認められている場所であっても、周囲の環境に配慮する必要があるでしょう。
発電機を選ぶ3つのポイント│サイズ・発電量・稼働音をチェック
キャンピングカーで利用する発電機としてはポータブルタイプが一般的です。排気量は100cc~200cc、出力は幅がありますが複数の家電を使用するのに十分な能力を持ちます。ポータブルタイプの種類は大きく「スタンダード」と「インバーター」の2つがあります。
- スタンダード:出力が大きく安価、耐久性に優れる
- インバーター:正弦波出力でパソコンなどの精密機器も使用可能
また、使用する燃料にも違いがありますが、キャンピングカーで利用するなら発電コストが安く長時間の運転が可能なガソリン方式が主流となります。車内スペースや使用頻度などを考慮し、サイズ・発電量・稼働音の3つを基準として発電機を選びましょう。
サイズは車種や持ち運び頻度で選択
キャンピングカーで利用する発電機の主要なモデルを表にまとめました。
メーカー/型番 | サイズ (全長×全幅×全高/ミリメートル) |
重量(キログラム) ※乾燥重量 |
定格出力(kVA) |
ホンダ/EU18i | 509×290×425 | 21.1 | 1.8 |
ホンダ/EU28is | 658×482×570 | 61.2 | 2.8 |
ヤマハ/EF1600iS | 490×280×445 | 20 | 1.6 |
ヤマハ/EF1800iS | 555×300×470 | 25 | 1.8 |
基本的に、ポータブル発電機のサイズや重量は出力に比例します。出力が大きいものは複数の家電を使用しても余裕がありますが、重量があり積み降ろしに手間がかかります。持ち運びを考えると、出力1.8kW程度が限界となるでしょう。
発電量は使用する家電とシーンで決める
発電量を決める際は使用する機器の消費電力を確認しましょう。
- 照明(100W)+テレビ(300W)+電子レンジ(1,000W)=1400W(1.4kW)=1.4kVA
※消費電力は目安値、W=VA(力率1.0)で算出
例えば上記のような家電を使用する場合、消費電力の合計は1400Wとなるため1.4kVA以上の出力を持つ発電機が必要となります。家電を同時に使用する機会は少ないかもしれませんが、電子レンジやクーラーなど動き始める時に消費電力の2倍~4倍の起動電力が必要な機器もあります。サブバッテリーなど他の電源も組み合わせた上で、余裕を持った発電量を選ぶのがよいでしょう。
稼働音はサイズや発電量でも異なる
発電機の稼働音はキャンピングカー用途のモデルだと70db~90dBが目安となります。ただし、発電機の負荷を抑えることで騒音レベルを下げることも可能です。
- ヤマハ/EF1600iS:51.5dB~61dB(4/1負荷~定格負荷)、90db(3/4負荷)
- ヤマハ/EF1800iS:57dB~65dB(4/1負荷~定格負荷)、92db(3/4負荷)
例えば上記のモデルは防音性が高めされており、負荷が低い場合は自動的にエンジンの回転数が調整されます。このモデルに限らず、なるべく最大出力が高い発電機を選ぶことで稼働音を小さくすることができるでしょう。なお、さらに稼働音を抑えたい場合は、発電機用の防音ボックスを導入するという選択肢もあります。
発電機以外のキャンピングカー用電源も確認しておくのがおすすめ
キャンピングカーは発電機以外にも以下のような電源を使用できます。
- サブバッテリー
- 外部電源
- ソーラーパネル
- ポータブル電源
主に走行中に充電をおこなうサブバッテリーは軽キャンピングカーなど小型のモデルにも搭載しやすく、メインの電源として利用しやすいのが魅力です。また、目的地に外部電源があれば家電の使用はもちろんサブバッテリーの充電もおこなえるでしょう。発電機の導入には10万円~30万円程度の費用がかかりますし、利用する場所も限定されます。発電機の必要性を判断するために、まずはキャンピングカー用電源も確認しておくのがおすすめです。
キャンピングカーに発電機を載せると車中泊がより快適になる
キャンピングカーはサブバッテリーや外部電源、ソーラーパネルなどの電源を利用できます。1泊程度の旅行で、家電の使用が少ないなら発電機がなくても問題はありません。しかし、サブバッテリーの電力が不足した際や外部電源が使えない場所での宿泊、万が一の災害時など発電機が活躍するシーンもあります。
電力消費の多い電子レンジを頻繁に利用する際や、子どもやペット連れでエアコンの稼働が多い場合などでも発電機が活躍するはずです。キャンピングカーで利用する電源を確認した上で、発電機の導入を検討してみましょう。