キャンピングカーならではの装備であるシャワーは場所や時間を問わず気軽に入浴できるのが魅力です。シャワーには簡易式もありますし、スペースが限られる小型のキャンピングカーでも利用できます。
しかし、他の装備と比較して優先順位は低く、手間もかかるためシャワーを設置するかどうかは生活スタイルも含めて検討する必要があります。キャンピングカーの購入やレンタルを検討する際はシャワーのメリット・デメリットや使い方も確認しておくのがおすすめです。
シャワーやお風呂のあるキャンピングカーは減少傾向
シャワーやお風呂のあるキャンピングカーは以下のような理由で減少傾向にあるといえます。
- コンパクトなキャンピングカーが主流となっている
- 入浴施設が充実しており、シャワーは手間もかかる
国内のキャンピングカー市場で長らく生産台数のトップを維持するバンコン(バンコンバージョン)は基本的にシャワーが設置されませんし、近年は軽キャンパーや8ナンバー以外の車中泊車のシェアも増加しています。また、日本は入浴施設も充実していますし、シャワーはメンテナンスなどの手間もかかります。他の装備と比較して需要が低いこともシャワー付きのキャンピングカーが減少している一因だといえるでしょう。
キャンピングカーにシャワーを取り付けるメリット・デメリット
シャワーはキャンピングカーに必須の装備ではありません。電源システムやFFヒーター、サブバッテリーなど他の装備と比較すると重要度は低いといえるでしょう。
しかし、生活スタイルや利用用途によっては、シャワーが必要不可欠だと考えるユーザーも存在します。メリット・デメリットの双方から、キャンピングカーのシャワーの必要性を考えてみましょう。
好きなタイミングでシャワーを利用できるのが最大のメリット
キャンピングカーにシャワーがあると以下のようなメリットが生まれます。
- 時間を気にせず入浴できる
- 調理や洗い物でもお湯が使える
- アクティビティに活用できる
キャンピングカーにシャワーがあれば時間に縛られずに好きなタイミングで入浴することができます。入浴施設の営業時間や走行ルートに気を配る必要もなく、1泊以上の長期旅行でも余裕を持って楽しめるはずです。また、キッチンのシンクにもお湯が使えますし、スポーツやアウトドアで使用した道具の洗浄などにシャワーを活用することも可能です。シャワーを取り付けることで、キャンピングカーの旅行を快適にすることができるでしょう。
定期的なメンテナンスが必要で手間がかかることがデメリット
キャンピングカーにシャワーがあると以下のようなデメリットが発生します。
- 給排水のタイミングが限られる
- 定期的なメンテナンスが必要
- 自宅のシャワーと比較して水圧が弱い
キャンピングカーのシャワーのタンク容量には限りがあるため、定期的に給水をおこなう必要があります。シャワー使用後の排水も許可された場所でしかできませんし、ボイラーの石灰成分の凝固を避けるため普段は水を抜いておく必要があるなど手間もかかります。なお、基本的に自宅のシャワーとは違い水圧は弱く、水の容量にも限りがあるため使い方を工夫する必要もあるでしょう。
キャンピングカーのシャワーの特徴│仕組みと使い方を確認
キャンピングカーのシャワーは自宅とは使い勝手が異なります。水量・水圧に制限がありますし、ボイラータンクの種類によっては温かいお湯が出るまで20分〜30分程度必要となります。
自宅と同じように水を流すとすぐにタンクが空になるため使い過ぎに気を配る必要があります。シャワー付きのキャンピングカーを検討する前に、事前に仕組みや使い方を確認しておきましょう。
給水・ボイラー・排水の3つのタンクでシャワーを利用
キャンピングカーのシャワーには給水・ボイラー・排水という3つのタンクが関わっています。
- 給水タンク:大きく分けて固定式、可搬式の2種類
- ボイラータンク: ガス・軽油や電気式の他、瞬間温水ボイラー搭載モデルも存在
- 排水タンク:シャワー、シンク等の排水を溜める
シャワーは給水タンクに溜められた水と、ボイラータンクで温められた温水を合わせて適温となる仕組みです。ボイラータンク内の水は減った分だけ給水タンクから供給され、シャワーで利用した温水は排水溝から排水タンクに溜まります。なおボイラータンクにはプロパンガス式をはじめ、電気式やエンジン熱を利用するモデルも存在します。
水量や水圧は家のシャワーと違うので使い方に気を配る
日本製のキャブコンであれば、シャワーに利用するタンク容量は下記が平均的です。
- 給水タンク:20~100リットル程度
- ボイラータンク: 20リットル程度
- 排水タンク:容量は給水タンクと同じ、または少ない容量
水の出し方にもよりますが、1回の給水でシャワーを使える時間は小さいタンクで約10分程度、大きいタンクで約30分が目安となるでしょう。水圧は自宅のシャワーと比較して弱くなります。ポンプの強さによっては水圧を上げることも可能ですが、使用できる時間が短くなるので注意が必要です。シャワーを使った後は、カビの発生やパッキンの劣化を防ぐために水滴を拭く作業も必要となります。
シャワーの給水・排水は決められた場所でおこなう必要があるので注意
キャンピングカーのシャワーの給水・排水は下記のように決められた場所でおこなう必要があります。
- 給水:自宅、キャンプ場・RVパーク、湧き水・名水スポット、ガソリンスタンド(許可が必要)など
- 排水:自宅、キャンプ場・RVパーク、ダンプステーション(汚水処理施設)など
ガソリンスタンドでは必ず給排水ができるとは限らず、シャワーに適していない工業用水が使用されていることもあります。また、排水の場所も限られるため、旅行に行く前にあらかじめ給排水の場所を確認しておきましょう。サービスエリアや公園での給排水はマナー違反となりますし、許可されている場所でも周囲の迷惑にならないよう配慮する必要があります。
キャンピングカーのシャワーの主なタイプや取り付ける方法
キャンピングカーのシャワーはトイレと合わせてマルチルームに設置されるのが一般的です。フルコンやセミコンなど大型のキャンピングカーではシャワーとトイレが別になっていることもありますが、いずれも入浴を目的として車内に設置されています。
しかし、キャブコンなどはもちろん、他のキャンピングカーでも入浴以外を目的としたシャワーが設置されていることもあります。また、ポータブルタイプのボイラーを使って簡易式のシャワーを設置することも可能です。
シャワーの利用目的によって設置場所やタイプが異なる
車内のマルチルーム以外では、下記のような場所にシャワーが設置されます。
- 車体後方に設置:外からでもシャワールームに入れる
- 車体側面に設置:身体や道具の汚れ落としに利用
- キッチンに設置:車外までシャワーを伸ばせる
一部のバンコンなどで見られる車体後方にシャワールームを設置したキャンピングカーは、外からでもシャワールームに入れるのが特徴です。直接シャワールームに入れるため、汚れを気にせず利用できるメリットがあります。また、車体側面やキッチンに配置したものは入浴を目的としたものではありませんが汚れ落としなどに活用できます。
簡易式なら小型キャンピングカーでの利用や後付けも可能
スペースの限られたバンコンや軽キャンパーでは、車内にシャワーを設置するのは難しいかもしれません。しかし、汚れ落としなどを目的として車外やキッチンにシャワーが付いたキャンピングカーは意外と多くあります。スポーツやアウトドア用途なら、車外で利用できるシャワーの方が適しているのではないでしょうか。
また、小型のボイラーと給水システムを利用するシャワーなら、車内スペースの限られるキャンピングカーでも後付けは容易です。マルチルームに設置するシャワーと比較すると費用も抑えられるため検討してみるとよいでしょう。
シャワーが必要かはキャンピングカーの利用目的に合わせて判断しよう
電源やエアコン、サブバッテリーなど他の装備と比較するとシャワーの重要度は決して高いとはいえません。定期的な給排水やメンテナンスが必要ですし、入浴施設などを利用した方が手間もかからず済むでしょう。
しかし、いつでも快適に温水を利用できるシャワーは、キャンピングカーならではの装備だといえます。汚れ落としなどを目的としたタイプや簡易式のシャワーもありますし、後付けも可能なので必要に応じて検討してみましょう。