キャンピングカー中でも車体サイズの大きいキャブコン(キャブコンバージョン)などは運転中の揺れが気になりやすいものです。運転に問題がないのに車体の揺れが気になる場合は、カスタムで走行性を快適化できるかもしれません。
バンコン(バンコンバージョン)や軽キャンパー(軽キャンピングカー)などでも、揺れ防止の対策としてカスタムが有効です。キャンピングカーの揺れを軽減するための対策を、酔い対策と合わせてご紹介します。
キャンピングカーが運転中に揺れる主要な2つの原因
キャンピングカーが運転中に揺れる主要な原因は、大きく下記の2つが考えられます。
- 風や車体重量が影響する横揺れ
- ベース車両の設計・乗り心地
風の影響による横揺れはキャブコンなど大型のキャンピングカーだけでなく、軽キャンパーやバンコンなど小型のモデルにも起こりえます。さらにキャンピングカーはサイズ・重量があるため車体が安定しづらく、ベース車両に起因する揺れも発生しやすいといえます。
車高が高いため乗用車より横揺れが発生しやすい
乗用車と比較すると、キャンピングカーは基本的に車高が高いという特徴があります。カムロードなどをベースにシェルを架装したキャブコンは、車高が2.6メートル以上のモデルが一般的です。重心が車体上部にあるためスピードの出し過ぎや横風の影響で横揺れが発生しやすいといえるでしょう。
また、ハイルーフ仕様のバンコンやシェルを架装した軽キャンピングカーなど、小型キャンピングカーでも車高が高いモデルも多くあります。サイズ・重量がある場合は走行中に不安定になりやすいため、安全運転だけでなくルーフの積荷による重心の変化、タイヤの空気圧などにも気を配る必要があります。
ベース車両の乗り心地が揺れの原因の可能性もある
キャンピングカーに使われるベース車両の多くは、荷物を運搬することを主とした「商用車」が多く用いられます。ハードに使用することを想定した商用車は積載量や耐久性に優れている一方、乗用車と比較して乗り心地がいいとはいえません。エンジンの振動を受けた細かな揺れ、走行中のゆっくりとした大きな揺れをはじめ下からの突き上げ・縦揺れも発生しやすいといえます。
定番のキャブコンとバンコンだけでなく、軽キャンパーであっても商用車をベースとしたモデルは多くあります。揺れの原因がベース車にある場合は、揺れ防止の対策をおこなう必要があるかもしれません。
キャンピングカーが揺れることによる車酔いの対策
キャンピングカーが揺れることにより起こるトラブルとして車酔いがあげられます。キャンピングカーの座席のレイアウトはさまざまであり、前方の視界が見えにくいことも多いものです。視覚と身体に感じる揺れにずれがあると、車酔いが起こりやすくなるといわれています。
揺れだけではなく、キャンピングカー特有の構造が車酔いの原因となっている可能性もあるでしょう。レジャーをはじめ、長距離を移動することが多いキャンピングカーでは車酔いの対策を確認しておくことも重要です。
キャンピングカーの構造や運転に慣れるのが基本
キャンピングカーで車酔いを避けるためには、乗用車とは異なる独特の構造に慣れることが基本です。新たにキャンピングカーを購入した場合は、長期旅行の前に車内の揺れや乗り心地などに慣れることから始めるとよいでしょう。
運転手でない場合は視覚と体感のずれの少ない助手席に座る、後部座席ではなるべく前方を向いて座るなどの対策も有効です。また、スピードの出し過ぎやハンドル・ブレーキなどの急な動作を避けることも車酔い対策につながります。
車内での飲食やトイレなどの生活臭にも気を配る
車内で寝泊まりすることの多いキャンピングカーは、乗用車と比較して生活臭が溜まりやすいといえます。座席やカーテン、シートなどの布揺れ防止製品は飲食や汗などの生活臭を放つ原因となりえます。車内にトイレやシャワールームがある場合は特に注意する必要があるでしょう。
ベンチレーターなども活用して、走行中はもちろん駐車中でも定期的に換気をおこない車内の空気を入れ替えましょう。ニオイが改善しない場合は車内で出たゴミの片づけ、水タンクの清掃などメンテナンスにも気を配るのがおすすめです。
運転する際は体調を整えこまめな休憩をとることも重要
車酔いを避ける対策として、運転前に体調を整えておくことも重要です。出発前には十分な睡眠をとっておき、消化のよいものを食べて空腹の状態を避けましょう。空腹・満腹いずれも車酔いを起こしやすいため、適度に食事をとっておくのがおすすめです。
また、走行中は視線を進行方向に向け、必要に応じてこまめに休憩することも必要です。キャンピングカーいつでも休息できますし、同乗者の体調に気を配ることにもつながります。念のため自身の体質にあった酔い止め薬を用意して、車酔いの対策を万全にしておくとよいでしょう。
乗り心地が気になるなら足回りのカスタムで改善を図ろう
基本的にキャンピングカーはノーマルの状態でもビルダーによって最適に走行できるよう調整されています。そのため安全性やバランスという観点では、初期状態でも十分だといえるでしょう。しかし、どうしても乗り心地が気になるなら、揺れ防止として足回りをカスタムするのもおすすめです。
足回りのカスタムは大掛かりで費用もかかりますが、モデルによっては揺れ止めに大きな効果をもたらす可能性があります。定番のキャブコンやバンコンだけでなく、軽キャンピングカーでも足回りのカスタムパーツは種類が多いのが魅力です。
車体を平行に保つスタビライザーで走行安定性を強化
スタビライザーは車体の傾きや揺れ(ロール)を抑えて走行安定性を強化するパーツです。スタビライザーを装備する車両は多く、キャブコンのベース車両となるカムロードにも通常フロント部に装着されています。例えばカムロードではフロントとリアを強化スタビライザーに交換することで、バランスを保ちつつ走行時の揺れを軽減できるかもしれません。
また、ハイエースやハイゼットなど、バンコンや軽キャンピングカーのベース車両向けの強化スタビライザーも販売されています。足回りのカスタムパーツとしては特に費用がかかりますが、走行時の揺れ止めとして有効な対策となるでしょう。
衝撃吸収用のショックアブゾーバーは種類豊富
スタビライザーとともに走行安定性のために重要となるのが、サスペンションユニットの一部であるショックアブゾーバーです。ショックアブゾーバーはダンパーとも呼ばれ、地面からの衝撃を吸収するために用いられます。地面の高低差や凹凸による突き上げはもちろん、揺れる車体の動きを抑制する働きもあります。
ショックアブゾーバーはベース車両向けのカスタムパーツが豊富です。また、内部に封入されたオイルやガスの調整などでキャンピングカーに合わせたセッティングが可能なのも特徴です。換装することで、純正品より揺れを軽減できるかもしれません。なおショックアブゾーバーは消耗品であるため、定期的な点検や交換が必要となります。
タイヤを換装すれば安定性が増す可能性もある
乗用車より車体が重くなりやすいキャンピングカーでは、タイヤを換装することで安定性が大きく増す可能性があります。例えばタイヤの幅を純正品より広くすることで、走行時の横揺れ防止や安定性の向上につながるかもしれません。
キャブコンだけでなく、バンコンや軽キャンピングカーでも同様の対策がおこなえるでしょう。ただし、ベース車両によって換装できるタイヤが決まっているため、負荷能力を示すロードインデックスや適性空気圧もとにして選ぶ必要があります。なおタイヤの空気圧を見直すことも揺れ防止には重要です。
エアサスペンションやブレーキパッドの交換も有効
車体に伝わる振動を軽減するサスペンションは通常金属のスプリングが用いられます。一方、エアサスペンションはスプリングの機能を空気圧によっておこなうもので、キャンピングカーの揺れ止めに効果をもたらします。特にキャブコンでは荷重による尻下がりの改善に有効で、突き上げ感の抑制や走行安定性の向上が期待できます。
また、ブレーキパッドを交換することにより走行時の急な動作による揺れ防止につながる可能性があります。エアサスペンションやブレーキパッドも、ベース車両を問わず幅広いパーツが販売されています。
揺れる対策の基本は安全運転と整備│ カスタムは信頼できる販売店・ビルダーで
乗用車と比較すると、車体のサイズ・重量のあるキャンピングカーは走行中に揺れやすいという特徴があります。どうしても揺れが気になる場合は、足回りのカスタムをおこなうことで改善ができるかもしれません。
足回りのカスタムはパーツの選定だけでなく細かなセッティングも必要となるため、信頼できる販売店やビルダーを見つけることも重要となります。カスタムをおこなっても過信はせず、基本的な整備も見直し安全運転でキャンピングカーを楽しみましょう。