
キャンピングカーには電動リフトやスロープを備えた車いす対応のモデルが存在します。キャンピングカー全体として見ると数は多くありませんが、病気や障害を持つ方が快適に過ごせるよう工夫が施されているのが魅力です。
ここでは車いす対応のキャンピングカーの概要やメリット、注意点などをご紹介しています。最適なモデルを選択すれば、これまで難しかったレジャーやアウトドアはもちろん、普段の送迎や介護まで幅広く活用することができるでしょう。
キャンピングカーには車いすに対応したモデルがある
車いす対応のキャンピングカーは福祉車両をもとにしたモデルをはじめ、後付けで電動リフトが備えられているなどビルダーによって仕上がりは異なります。しかし、いずれも車いす利用者はもちろん、家族や介護者なども快適に過ごせるようなデザインに仕上げられているのが特徴です。
キャンピングカーと福祉車両を単純に組み合わせただけでなく、車内スペースやレイアウト、機能・設備までこだわって制作されています。このようなキャンピングカーを導入すれば、病気や障害を持っていても外出しやすい環境を整えられるでしょう。
車いす対応キャンピングカーはバンコンやキャブコンが中心
車いすに対応したキャンピングカーはバンコン(バンコンバージョン)やキャブコン(キャブコンバージョン)が中心となっています。いずれも電動リフトやスロープが備えられており、車内スペースも含めて専用の設計となっているのが特徴的です。
また、車いすに対応した軽キャンピングカーを制作するビルダーも存在します。バンコンやキャブコンと比較すると車内スペースや設備に制限がありますが、購入価格や維持費の面でメリットがあります。ビルダーによってはオプションの用意やオーダーメイドにも対応しているため、購入前に相談してみるのがおすすめです。
福祉車両より機能が豊富なユニバーサルデザインが魅力
車いすに対応したキャンピングカーは、一般的な福祉車両より機能が豊富に備えられているのが魅力です。ハイエースや軽自動車をもとに制作された福祉車両は、車いす用のリフトを備えるなど日常の介助をサポートする機能が備えられています。
しかし、基本的には送迎や移動に特化しており、旅行など長距離の移動に向いているとはいえません。一方、車いす対応のキャンピングカーは家族や介護者も含めて車内で快適に過ごせる設計となっています。利用人数や使い方に合わせてモデルを選べば、日々の介助はもちろんレジャーやアウトドアまで幅広く活用できるでしょう。
車いす対応のキャンピングカーは独自機能が豊富
車いす対応のキャンピングカーは、電動リフトやスロープ以外にも独自機能が豊富です。一般的なキャンピングカーは健常者が使うことを想定しているため、車内での移動や収納スペースに制限が出ることもあるでしょう。
対して車いす対応のキャンピングカーは、車いす利用者だけでなく同乗者も使いやすいように配慮されたレイアウトが施されています。FFヒーターやベンチレーター、ソーラーシステムなど一般的なキャンピングカー同様の装備もあり非常時にも活用できるなど多数のメリットがあります。
車いす用リフトはもちろん収納ステップで楽に乗り降りできる
車いす対応のキャンピングカーは、基本的に電動式のリフトやスロープが標準で備えられています。固定装置や車いす利用者用のシートベルトもあり、乗り降りや移動がスムーズにおこなえるのが特徴です。
また、モデルによっては通常よりも低めの側面ステップが備えられており、高齢者や幼児などでも乗り降りがしやすい設計となっています。リフトは重い荷物の積み下ろしにも利用できるため、年齢・性別を問わず利用しやすいのもメリットです。
収納やレイアウトは車いすを考慮した使いやすいものに設計
車いす対応のキャンピングカーは、同乗者全員がストレスなく利用できるよう設計されています。車内に車いすがあっても移動しやすいレイアウトとなっているのはもちろん、介護の際に邪魔にならないよう頭上のスペースが広く確保されているモデルもあります。
モデルによっては車いすを折りたたんだ際の収納スペースがあり、移動時はもちろん宿泊時も快適に過ごすことが可能です。レイアウトや車内スペースはモデルによっても異なりますが、一般的なキャンピングカーよりも病気や障害を持つ方に配慮した設計となっているといえるでしょう。
純正パーツを使用していれば故障やトラブル時も安心
福祉車両をもとに制作されたキャンピングカーのうち、メーカーの純正パーツを利用したモデルも多くあります。電動リフトなど車両のベース部分に手を加えていない場合、故障やトラブルの際にディーラーで対応してもらえるというメリットがあります。
特に電動リフトの利用が多い場合は、メーカーの純正パーツを利用したモデルの方が安心できるでしょう。ただし架装部分であってもビルダーによる保証はありますし、信頼できる購入先であれば電動リフトの後付けモデルでも問題はないはずです。
災害など有事の際は一時的な避難先としても活用できる
災害や有事の際、車いす対応のキャンピングカーは一時的な避難先としても活用できるでしょう。トイレやシャワーまで完備となるとさすがに難しいものの、食料品や介護用品を備えておけば非常時でも安心です。
大容量のサブバッテリーやソーラーパネルがあれば、冷暖房や医療機器が必要なケースでも対応可能でしょう。普段使いからから非常時まで活用できるのも、車いす対応キャンピングカーの大きなメリットだといえます。
車いす移動車登録や利用者の身体状況によって減免制度がある
電動リフトや車いす用の固定装置を備えた車は、「車いす移動車」として登録することで消費税の免除や減免を受けることができます。
- 車両本体の消費税:非課税
- 自動車税(自動車環境性能割・自動車税種別割):減免(8ナンバー)
車両の修理代金が非課税となるケースもありますし、自治体によっては助成金なども活用できます。減免や助成金は利用者の身体状況や都道府県によって異なるため、キャンピングカー購入前にお住まいの地域の都道府県税事務所や社会福祉協議会などに確認しておくのがよいでしょう。
車いす対応キャンピングカーの確認ポイントや注意点
日本国内のキャンピングカーは生産・保有台数ともに右肩上がりで上昇しています。ビルダーの数も多く、用途に合わせて幅広いモデルが選べるのが魅力です。しかし、病気や障害を持つ方が利用しやすいよう設計されたキャンピングカーは多いとはいえません。
車いすを載せるスペースが確保されているため、基本的にはトイレやシャワー付きモデルが存在しないのもデメリットだといえるでしょう。最後に車いす対応キャンピングカーの確認ポイントや注意点を確認してみましょう。
キャンピングカー全体として見れば選択肢が多いとはいえない
車いす用のリフトを備えたモデルなど、病気や障害を持つ方が利用しやすいよう設計されたキャンピングカーは全体として見ると選択肢が多いとはいえません。知名度の高いビルダーであっても取り扱いがないことも多く、購入するまでに時間がかかってしまう可能性もあるでしょう。
同じクラスのキャンピングカーと比較して価格が高すぎるということはありませんが、利用人数や用途に合わせて選びにくいのはデメリットです。ビルダーによってはオーダーメイドやカスタムに対応していることもあるため、中古車の購入も含めて検討してみるとよいでしょう。
医療機器などを持ち込む際は設備確認を入念におこなう
医療機器をキャンピングカーに持ち込む場合、入念な設備確認は必要不可欠です。例えば医療機器をサブバッテリーで作動させるなら、稼働時間はもちろん故障の際の対応も確認しておく必要があるでしょう。
- 医療機器や周辺機器の充電時間、サブバッテリーの稼働時間
- 移動時の振動への耐久性、固定方法の確認
- 緊急時の際に備えて旅先での病院所在地、スケジュールの確認
また、旅先での食事や環境が変わることによる体調変化などにも注意する必要があります。万が一の準備を入念におこなっておけば、キャンピングカーの旅をより楽しいものにできるはずです。
車いす対応キャンピングカーは誰でも使いやすいように設計された機能が豊富
車いすに対応したキャンピングカーはあまり多くはなく、ビルダーによって取り扱いは異なります。車両のモデルも限られることから、一般的なキャンピングカーより購入のハードルは高いかもしれません。
しかし、病気や障害も持つ当事者はもちろん、家族や介護者がサポートしやすいよう配慮された専用の設計が魅力です。これからの高齢化社会に備えて、ユニバーサルデザインのキャンピングカーを検討してみるのもよいのではないでしょうか。